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位置ベクトル

ベクトルは,計算だけなら規則を覚えればたやすい。 しかもその規則はほとんど自然である。
ちょっと不自然なのがあって, それが
継ぎ足し
\(\overrightarrow{\rm OA}+\overrightarrow{\rm AB}=\overrightarrow{\rm OB}\)
と,それを移項して得られる,始点変更公式である。
\(\overrightarrow{\rm AB}=\overrightarrow{\rm OB}-\overrightarrow{\rm OA}\)

位置ベクトルの考えは,多少難解で
教科書による定義は,次のように書いてある。
平面上で,1点O を固定して考えると,
任意の点P 指定したある点P)の位置は,
ベクトル \(\vec{p}=\overrightarrow{\rm OP}\) によって定められる。
このとき,
\(\vec{p}\)  を 点O に関する 点P の位置ベクトルという。
位置ベクトルとは,
点の位置を表すベクトルのことである。
座標の考えの拡張である。
ざっくりいうと, 基準点 O から 目的の点 P が どのくらい離れているか(距離だけでなく向きも込めて) をベクトルで表しているのである。
混乱するのは,
\(\overrightarrow{\rm AB}\) は
A から B への 有向線分であるが, Aに関するBの位置ベクトルとみる場合があるからである。

三角形OAB があったとき, 線分AB を 2:3 に内分する点 P の位置を表してみよう。
A\((\vec{a})\), B\((\vec{b})\)
すなわち,
(O に関する)点A の位置ベクトルを \(\vec{a}\), 点B の位置ベクトルを \(\vec{b}\)
とする。
もっというと,
\(\overrightarrow{\rm OA}=\vec{a}\),  \(\overrightarrow{\rm OB}=\vec{b}\)
これらは,同じことをいっている。
\(\overrightarrow{\rm AP}=\dfrac{2}{5}\overrightarrow{\rm AB}\)
これは,
\(\overrightarrow{\rm OP}-\overrightarrow{\rm OA}= \dfrac{2}{5}(\overrightarrow{\rm OB}-\overrightarrow{\rm OA})\)
よって,\(\overrightarrow{\rm OP}\) すなわち, P の位置ベクトルは
\(\overrightarrow{\rm OP}= \dfrac{3}{5}\vec{a}+\dfrac{2}{5}\vec{b}\)
この変形はよく使うから,公式にしてしまおう, というのが分点の位置ベクトルを求める公式である。
O[0, 0], A[1,0], B[0,1] とすると,
AB を 2:3 に内分する点P は
P[\(\dfrac{3}{5}\), \(\dfrac{2}{5}\)]
なんて 書き方に慣れると,ベクトルの計算はすごく早くなる。

三角形ABC があったとき, 線分BC を 2:3 に内分する点 P の位置を表してみよう。
\(\overrightarrow{\rm AB}=\vec{b}\),  \(\overrightarrow{\rm AC}=\vec{c}\)
これは,
(A に関する)点B の位置ベクトルを \(\vec{b}\), 点C の位置ベクトルを \(\vec{c}\)
とすることを意味している。
これから,点の位置は
A を基点にしますよ。
\(\vec{b}\), \(\vec{c}\) の結合で表しますよ。
と宣言もしている。
\(\overrightarrow{\rm BP}=\dfrac{2}{5}\overrightarrow{\rm BC}\)
これは,
\(\overrightarrow{\rm AP}-\overrightarrow{\rm AB}= \dfrac{2}{5}(\overrightarrow{\rm AC}-\overrightarrow{\rm AB})\)
よって,\(\overrightarrow{\rm AP}\) すなわち, P の位置ベクトルは
\(\overrightarrow{\rm AP}= \dfrac{3}{5}\vec{b}+\dfrac{2}{5}\vec{c}\)
この変形はよく使うから,公式にしてしまおう, というのが分点の位置ベクトルを求める公式である。
A[0, 0], B[1,0], C[0,1] とすると,
BC を 2:3 に内分する点P は
P[\(\dfrac{3}{5}\), \(\dfrac{2}{5}\)]
なんて 書き方に慣れると,ベクトルの計算はすごく早くなる。

よくわからない概念は, 手を動かす(計算する)ことによって,理解できるようになる。
自分の頭で考えて,問題に取り組もう。
線分CD を 3:1 に分ける点の位置を求めたかったら,
\(\dfrac{1}{4}\)(Cの位置) + \(\dfrac{3}{4}\)(Dの位置)
位置は,ベクトルでも座標でもいい。