図形群

160603 初版 160603 更新

直線群

 例えば,m を定数として 方程式 y - 2 = m(x + 1) は点(-1, 2) を通り傾き m の直線を表します。 定数とは,x, y に依らず無関係に定まる数のことです。 この方程式は,どんなm に対しても直線を表し, m の値に関わらず 点(-1, 2) を通るという共通の性質をもちます。 このように,定数によって決まる図形たちを方程式の表す図形群と呼ぶことにします。
逆に,m(x + 1) - (y - 2) = 0 では,(-1, 2) を通る直線は,m の値を定めることによって, x 軸に垂直な直線だけを除く ほとんどすべて(almost all)を表すことができます。
 例えば,点(-1, 3) を通る直線は 実数の組(a, b) を適当に与えることによって,
方程式 a(x + 1) + b(y - 3) = 0 で表すことができます。 例えば,(a, b)=(1, 2), (2, 4) は同じ直線を表します。 この(a, b) は 直線の法線ベクトルと呼ばれます。
 k を定数とする方程式
(2k + 1)x + (k + 4)y - k + 3 = 0 …①
は k の値に関わらず直線を表します。 このような図形たちを直線群と呼ぶことにします。
① を k について整理すると
k(2x + y - 1) + (x + 4y + 3) = 0 となります。
2x + y - 1 = 0 … ② かつ x + 4y + 3 = 0 … ③ ならば, どんな k に対しても 方程式 ① が成り立ちます。
② ③ は直線を表します。 方程式② ③ を同時に満たす (x, y) = (1, -1) は 直線群 ① が k の値に関わらず通る点ですが, 2直線② ③ の交点です。
逆に,直線群① は, k の値を定めることによって, (1, -1) を通る直線のうち,直線② だけを除く ほとんどすべてを表すことができます。

曲線群

 k を定数とする方程式
\(k(x^2+y^2-5)+(x^2+y^2-6x-2y+5)=0\)…④ は曲線群を表します。
\((k+1)x^2+(k+1)y^2-6x-2y-5k+5=0\) と変形できますから, この図形群は k = -1 ならば直線をそうでなければ円を表します。
\(x^2+y^2=5\)…⑤ かつ \(x^2+y^2-6x-2y+5=0\)…⑥ ならば, どんな k に対しても方程式④ が成り立ちます。 したがって,曲線群④ は k の値に関わらず 2つの円⑤⑥ の交点を通ることになります。
逆に,曲線群④は, k の値を定めることによって,2つの円の交点を通る円のうち,円⑤ だけを除くほとんどすべてを表すことができます。 ただし,k = -1 のときは直線を表します。 (アニメーションによるイメージ)