151212 第2版 151220 更新
プロジェクタのある授業

はじめに
授業時間すべてにプロジェクタがあったら…
何ができるか。 生徒への効果はどのようなものがあるか。 授業者への負担はどのようなものがあるか。
その他,実施してみて,問題点・課題を見つける。
平成25年度 2次特編(26年2月)での入試問題の解法を説明において, スタディーエイドの解答例をPDFで出力して, 生徒にはプリントで配布,スクリーンに同じものを投影した。
26年度,授業にプロジェクタを常にもっていくこと自体を目標にした。
昨年度は,2年普通科理系1クラス,文系1クラス,それぞれ6単位, 合計で 400回程度 実施した。 今年度は,1年普通科1クラス,理数科1クラス, 12月現在で,授業としては合計300回ほど実施している。
その他,土曜講習でも用いている。

心がけ

毎日の授業の流れ
① 朝,副級長がクラスボックスに入っている問題プリントを教室に持っていく。
② SHR前に,数学係または副級長が配布する。
③ 数学の授業の開始チャイムが鳴ったら,解き始める。(10分間ほど)
私は,プロジェクタの準備をしたり,添削したプリントを返却したりしている。
④ その日のプリントを回収する。
添削して次回返却。
⑤ プロジェクタのある授業

プロジェクタのある授業
スクリーンには, 教科書,問題集,参考書,プリントをスキャンしたもの,私のサイト などを投影する。
黒板には
を書いていく。
● 問題演習の時間を増加させると …
概念・知識を獲得させるだけでなく,それを活用させる場面を作ることは, 学力向上には不可欠なこと。 プロジェクタを持ち込むか持ち込まないにかかわらず, これがすべて。 よく聞く,インプット アウトプット。 いまや,アクティブラーニングの掛け声は, バズワード(buzzword)的な響きを感じるのだが, 知識を覚える,身に着けることが学習の目的ではなく, どうやって発見・構築するか,どこにあるか,どうやって使うかを 授業中に体験させる という授業改善が大事だということだろう。
問題の配布・取り組み・回収・添削・返却
人は間違うもの できないもの。それに気づかせてあげる。 自分では気づかない誤りを指摘する。
● 生徒の手元にあるものと同じものを投影すると …
教科書を投影して,アンダーラインを引くだけでも十分。 概念・知識を獲得するときに有効な仕掛け。
伝えたいことが,教科書の記述以外にあるのならば, 教師が板書する → 生徒がノートに複写する より,プリントを配布して 同じものを投影しながらポイントを解説するほうがよい。 そのうち,タブレットにプッシュ型配信あるいはクラウドからダウンロード という形式になるだろう。
● ノートをとることの本当のよさは ?
毎日,メモのような板書や口頭での補足をまとめる行為の積み重ねは大きい。 教師が,教科書にあることをわざわざ黒板に書いて, それを生徒がノートに写すことにどれだけの意味があるのだろうか。 いわゆる板書計画が,教師が知識をまとめて,再構築する行為にとどまっていたら, それは,本来は学習者がやるべきことではないか。 教師が自分たちの持っている知識を整理して板書するのは, 教師の自己満足以外にないのでは。 そのような受動的な授業は生徒は楽である。 自分たちのやるべき最も大事なことを教師がやってくれているのだから。 ただ黒板を写していた生徒は全く学力がつかない。 黒板を写せばよいという受動的な授業を期待している生徒は向上しない。
穴埋め式のプリントを用意することは, 教師が大事な点を読み取って空欄にするという行為が, 生徒のレベルにふさわしいかどうかのみきわめがポイント。 知的レベルの高い生徒には, 要約が学習行為としてふさわしいのではないかと思っている。
手書きによる正解例の配布と合わせて, 答案の作り方がうまくなる。 教科書や参考書(特に,こなれていない副教材)の正解例は, 解説や途中の計算を含んでいる。 目の前で教えている人が解答を作る意味は大きい。 これも,プロジェクタとは直接は関係ない。
● 黒板の本当のよさは ?
黒板は,学習者とのリアルタイムな対話のツール。 もちろん紙とペンでもよい。 違いは,少し多数の人を議論に巻き込めるかどうか。 どんなに進歩しても,黒板とチョークは必要である。
● 手書きの本当のよさは ?
映像として頭の中に入ってくる。 知識は巨大な紙に手書きで記してあるようなイメージがある。 知識地図といえるようなものをズーム,クローズアップして 説明するという方法は面白そうである。 あとは知識どうしのリンク。
● 静止したものでは理解が困難なものに対して
狭義のICTの活用。 やはり価値がある。 多少技術が必要だと思う。 これを目的にすると, 逆に,機器を持っていくことの障壁になっている気がする。 プロジェクタの「ある」授業形態の実践研究を行っているが, 最初から存在している状態で,使うか使わないかを選択することのほうが 確かに壁は低い。 同じことだが,ICTの活用を促すのならば, 少なくとも教師には全員tabletを配布するくらいでなければ永遠に無理。 使うか使わないかは先生次第ですよ という環境にするべきである。
● 惜しい答案を投影すると …
2番手生徒の学力向上にかなり有効な仕掛け。 問題添削と関連するが, 惜しい答案の改善点を指摘すると本人にも周囲にもよい影響がある。 生徒どうしの関係を留意することは必要である。 従来のように,黒板に答案を書かせるのもよいが, 私の経験では,よく準備していて,非の打ちどころがないことが多いので, それよりも,何気なく回収するほうが効果がある。 あらかじめ準備されたよい答案は, 教師が書く代理としての利点のほうが勝ってる。 ただ,教師が模範演技を見せるよりも, 同世代の答案は,学習者にとっては身近に感じてよいもののようだ。 それが,よくできた正解よりも,改善点のあるほうがさらに教育効果が高い。 師範代がいる集団ができると,教師の仕事はほとんど終わる。

具体的な方法・アプリケーション・技術
● PDF(結局は画像) ファイル
教科書などを書画カメラを通して投影することを,ひと工夫してみたもの。 この方法は途上だが,ディジタル教科書もまだ途上で, 聞くところではこの方法を上回るとは感じない。 ディジタル教材は,現場ではない側の商機に過ぎない。 この方法が,商機を妨げているととらえられるかどうかは, 政治的な問題である。 この方法程度であれば,対価を払う価値がない。
● 計算機 (タブレット,コンピュータ)
コンピュータでなければできないことをしたければ,それを持っていく。
経験では,
iPad > Mac air > windows pc > windows tablet > android tablet
● ファイルのやり取り
iPad はあまり得意ではない。
現在は google drive などのクラウドを使っている。
● PDF 閲覧アプリ
Metamoji Note (iOS 他), PDF Expert (iOS)
赤色で囲ったり,マークしたりすることが簡単でできる。
ちょっとしたものがかける。
タブレットに直接かく技術は,まだまだ課題が多い。ハードウエアの進歩待ち。 iPad Pro ?
● web ブラウザ
赤色で囲ったり,マークしたりすることが簡単でできるものを探している。
計算機はネットワークが必須。スタンドアローンはただの箱。 情報管理は大事なことだから,使う計算機は分離する。 あれもこれも一つのものでやろうとするのは,前時代的な発想である。
● クラウド
google drive は非常に便利である。 計算機はネットワークが必須。(大事なので2度言いました)。 情報管理は…(以下略)
今のところ 生徒などとは共有していない。 生徒全員が平等に使える環境が整えられれば,共有はかなり効果的だと思われる。
手軽にクラウドに接続するために,wimax2 のwifi router を使っている。
● スキャナなど
タブレットに直接かく技術は,まだまだ課題が多い。ハードウエアの進歩待ち。 (Apple Pencil が登場したので,もう まもなくか?)
スキャナでの読み取り。手書きが案外よい。A5の大きさに鉛筆。 リアルタイムな処理には向かない。
次点の技術は, bamboo sparklivescribe。書いたり消したりには向かない。
カメラはまだまだ課題が多い。ソフトウエアの進歩待ち。
● 数式表示や簡単なプログラミング
障壁がかなり高く厚い。専門家に任せたほうがよくて,ここが商機。 ただ,数学科の教員ならば 簡単なHTML と MathJax くらいは, 表計算ソフト程度のたしなみかもしれない。
他に注目していること JavaScript, canvas, three.js など web programming