141103 初版 141121 更新
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群数列
例題のない教科書という趣旨からは, 少しずれるようで気がひける。
誰が呼んだか 群数列
数列とは本来リニア(linear)なものだが, 群数列は 2次元数列とも呼べるもの。
ダブルインデックスな数の並びである。
正の奇数の列を,次のように群に分ける。
ただし,第n群には n個の奇数が入るものとする。
1 | 3, 5 | 7, 9, 11 | 13, …
(1) 第n群の最初の奇数を求めよ。
(2) 第n群にあるすべての奇数の和を求めよ。
第 n 群,m 番目の項を An,m と書くとすると,
A1,1, A2,1, A2,2, A3,1, A3,2, A3,3, A4,1, …
となる。通常の数列は各群の項数が 1 の群数列とみることができるし,
各群の項数が一定ならば,そんなに複雑ではない。
各群の項数が(規則はあるが)不定なので,問題が複雑になっている。
そこで,表にまとめることを考える。
先頭の値 末尾の値 項数 先頭の通し番号 末尾の通し番号
1 1 1 1 1 1
2 3 5 2 2 3
3 7 11 3 4 6
4 ① 13 19 4 7 10
5 ① 21 29 5 11 15 ☆
n-1
n
① 設定をまとめただけでなく, 少し先の群の様子を書いてみる。
通し番号という列があるが, これを考えるのが群数列のポイントである。
本来2次元の表のように数を並べるものを, 一列にするために要りようである。
この問題の設定では,まず ② ③ が書けるのではないか。
第n-1群の項数は n-1, 第n群は n項である。
表のこの部分に注目する。
☆の 15 は 1 + 2 + 3 + 4 + 5 と等しい。
これは偶然ではない。 自分なりに考えてみよう。
ここの理解に, 群数列が分かるかがかかっている。(群数列の第2定理)
すると,④ は
1 + 2 + 3 + 4 + … + (n-1) で
\(\dfrac{1}{2}n(n-1)\) となる。
これは本来は n が 2以上のときで考えたものだが,
n が 1のときも成り立っている。
⑤ は ④ に 1 を加えればよい。 (群数列の第1定理)
⑤ は \(\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\) である。
⑥ は \(\dfrac{1}{2}n(n+1)\) である。
N を整数として,2N-1 を N番目の奇数とすれば,
この問題では,⑦ は \(\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\) 番目の奇数である。
したがって,(1)の答えは
\(n^2-n+1\) となる。
ちなみに ⑧ は \(n^2+n-1\) である。
第n群にある奇数は, 初項 \(n^2-n+1\), 末項 \(n^2+n-1\), 項数 n の等差数列である。
したがって,求める和は
\(\dfrac{1}{2}n\{(n^2-n+1)+(n^2+n-1)\}=n^3\) … (2)答え
先頭の値 末尾の値 項数 先頭の通し番号 末尾の通し番号
1 1 1 1 1 1
2 3 5 2 2 3
3 7 11 3 4 6
4 13 19 4 7 10
5 21 29 5 11 15
n-1 n-1 Ln-1
n \(n^2-n+1\) \(n^2+n-1\) n Hn Ln
\(L_{n-1}=\dfrac{1}{2}n(n-1)\)
\(H_{n}=\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\),  \(L_{n}=\dfrac{1}{2}n(n+1)\)