121016 初版

直線のなす角

ベクトル

テストを返すと,人生が見える。
難しい問題から逃げているものはどんどん数学の神様の姿がかすんでいく。
たぶん,ご利益(ごりやく)はない。

2直線のなす角を求めてみる。
求め方はたくさんあるが,法線ベクトルを利用してみる。

2直線\(2x-4y=9\), \(x+3y=6\)のなす角 α を求めよ。 ただし α は鋭角とする。
\(2x-4y=9\)の法線ベクトル(のひとつ)は\(\vec{n_1}=(2,-4)\)
したがって,方向ベクトル(のひとつ)は\(\vec{d_1}=(4,2)\)
\(x+3y=6\)の法線ベクトル(のひとつ)は\(\vec{n_2}=(1,3)\)
したがって,方向ベクトル(のひとつ)は\(\vec{d_2}=(3,-1)\)

求めるなす角 α はどうやら,2つの方向ベクトルのなす角と等しいようだ。
法線ベクトルだけからなす角を考えてみることにする。

法線ベクトルのなす角 α′ は
\(\cos\alpha^\prime=\dfrac{\vec{n_1}\cdot\vec{n_2}}{|\vec{n_1}||\vec{n_2}|}\) \(=-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\)
すなわち,α′ = 135°
だから,α = 45°

なぜ,α と α′ は補角なのだろうか。
それは,1つめの直線の法線ベクトル\(\vec{n_1}\)は,方向ベクトル\(\vec{d_1}\)を 右に90°回転したもので,
2つめの直線の法線ベクトル\(\vec{n_2}\)は,方向ベクトル\(\vec{d_2}\)を 左に90°回転したものである。
だから,法線ベクトルの始点をある点にそろえて, 2つの法線ベクトルをそろって左右どちらかに90°回転すると,
直線のなす角の補角と法線ベクトルのなす角が等しいことが分かる。

2つの直線の法線ベクトルと方向ベクトルの関係が,
それぞれ左右同じ向きに回転したものであれば, 直線のなす角と法線ベクトルのなす角は等しいはずである。