http://goo.gl/MFRFj 121213 初版

まあねえ,数学はそういわれれば全部当たり前なんですよ。

自然数の列を,第\(n\)群には\(2^{n-1}\)個入るように,区切る。
1 | 2,3 | 4,5,6,7 | 8,9,…
第\(n\)群の最初の数を\(n\)を用いて表せ。

もちろん答えは,

\(2^{n-1}\)  これは正解。

最近,文部科学省の肩をもつようだが,
平成21年3月の 高等学校学習指導要領総則にこう書かれている。

学校の教育活動を進めるに当たっては,
各学校において,生徒に生きる力をはぐくむことを目指し,
創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で,
基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,
これらを活用して課題を解決するために必要な 思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,
主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。
その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動を充実するとともに,
家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない。

この問題の説明として,
各群の初項は,1,2,4,8,…だから,\(2^{n-1}\)
と答えると,私は不満げな顔をする。
それをみる生徒も不満そうである。

私が不満である理由は,
この説明は,論理に飛躍がある,表現力に乏しいという点である。
高校生という発達段階を考慮するならば,もう少しまともな言語能力を期待したい。

数列 1,2,4,8,…の一般項を答えよ。

という問いならば,それでよいだろう。
だが,この問題はそうではない。
各群の初項が1,2,4,8,…となる理由も求められているからである。

中学ではそんなこと言われませんでした。
それこそ当たり前である。
だから,文部科学省も発達段階を考慮して と,わざわざいっている。

定期テストではすばらしい点を取るのに, 模擬試験はいまひとつという場合,
理由はいろいろと考えられるが, (本質がわかっていないことが一番大きなものだろうけど)
こんなのでいいやという甘さ,学問に対する畏怖の欠如だろうと思う。

入試の採点者は,面識のない人である。
論文を提出して,みてもらうにしても, 専門の論文なら,事実上友だちが見てくれるようなものである。
でも,書き手はそう思って書かず,読み手も友だちだから, なんて思って読むことはない。

昔日本では,数学の問題は試合みたいなもので,
解けると,神社や仏閣に算額という形で奉納したという。
いまの生徒は学問に対しての畏怖を失っているように感じる。
幼稚だ。だから,ホンモノには認められない。かわいそうに。
やはり,学問の神様はいるし,人間は,まして,高校生は万能ではない。
それを知らなければ,どんな試験も受からない。
第\(n\)群の初項を\(H_n\)とすると,
各群には\(2^{n-1}\)個の自然数があるのだから,
\(H_1=1\), \(H_{n+1}=H_n+2^{n-1}\)
したがって,\(n\geqq 2\)のとき,
\(\displaystyle{H_n=H_1+\sum_{k=1}^{n-1}(H_{k+1}-H_k)}\) \(\displaystyle{=1+\sum_{k=1}^{n-1}2^{k-1}=2^{n-1}}\)
この式は,\(n=1\)のときも,\(H_1\)の値を与える。

こんな説明しかないとはいわないけどな。
問題は,全部証明問題だと思ったほうがいい。