121121 初版

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数学的活動の一場面

~整数の性質において~
http://goo.gl/MFRFj

割り算における商と余り

整数\(a\), \(b\)に対して,
\(a=bq+r\)  \(0\leqq r < b\)なる\(q\), \(r\)が一意に定まる。
この除法の原理といわれるものは,
私たち数論屋にとって,原点ともいえる式です。
先ほどの8の倍数と5の倍数の アニメーション において,
例えば,13は8の1番目の倍数8と2番目の倍数16の間にある。
まさに余りが5なのです。
この定理は,\(b\)の倍数が等間隔に無限にあることに起因します。

法が違えばもちろん余りも違います。
13は5の2番目の倍数10と3番目の倍数15の間にあり,
余りが3なのです。
さきほどいいましたが,小学校の教科書はとてもよくできていて,
このあたりのことがしっかり書いてあります。
児童,先生がどう感じているかはわかりません。
余り,はしたの考えは数学の根本思想のひとつのような気がしています。
小数部分も根っこの部分は同じです。
連分数ももちろん同じです。
このあたりも,小学校の教科書はしっかり書いてあります。
高校に来ると, 違うもののような気がしてします。
新カリキュラムなら,
実数は数学I, 割り算の余りは数学A, 小数展開はまた数学A
整式の除法が数学IIに出てきて,
実は\((a,f(a))\)における接線の方程式は\(x\)の多項式関数なら,
\((x-a)^2\)で割った余りに過ぎない。
この見方は大切でもちろん三角や指数対数でもテイラー展開してしまえば, 同じ話で,
\(x=a\)にすごく近いところでは関数の値は1次式で近似できるということです。
新カリキュラムではなくなるけど,行列
(調べたら理数数学特論には残っています。)
Hamilton-Cayleyも2次正方行列については,\(A^n=a_nA+b_nE\)と書けるのも 余りの発想です。
2次式版の剰余の定理,組立除法はそろそろ積極的に それこそ課題学習でやらせてもいいと思っています。
私はこれが教材研究なのかなと思っています。
私も20年この仕事をやっていて,最初からそう思って 授業していたわけではありません。
でも中堅という立場になって,思うのは
若い皆さんが私たちと同じ道をたどって, 20年後に同じところにたどり着くのは,
意味もあるけど,同じことならもう少し先へ行ってもらっても いいのではないかと思います。
そのためにこの会があったのだなあと, 遅ればせながら思います。
数学教員全員が,数学を教えたくて教員になったのではないかもしれませんが,
指導法の共有ができたらいいと思っています。
それも,大きな話や単発の話ではなくて, 教科書レベルの日常の話で。
さて,互いに素ではない2つの数を法とする場合, 余りはどうなるのでしょう。
35は16を法とすると余りは3
12を法とすると余りは11
\(a\) 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
(mod 16) 9 10 11 12 13 14 15 0 1 2 3 4
(mod 12) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 0
\(a\) 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36
(mod 8) 1 2 3 4 5 6 7 0 1 2 3 4
(mod 5) 0 1 2 3 4 0 1 2 3 4 0 1
この逆が,Chinese Remainder Theorem (中国式剰余定理)だったりします。
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