121121 初版

MathJaxがあまりにいいので, 調子に乗って書いてみる
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数学的活動の一場面

~整数の性質において~
http://goo.gl/MFRFj

割り算と最大公約数

ユークリッドのころは,式もない,アラビア数字すらなかったのです。
互除法にどうやって気が付いたのか想像してみます。
8の倍数と5の倍数で違う見方をします。 アニメーション
先ほどの下の段の丸の列を8区切りで折り返しました。
これは何を表しているのでしょうか?
今度は公倍数はどのようなときでしょうか?
\(n=8\), \(m=5\)のとき,
5段目でようやく右端に青丸が来ます。
(どうして?という問いかけの場面です)
明らかな公約数\(8\times 5\)が最小公倍数
言い換えると,8と5が互いに素だからですね。
そして,その5段を縦に見ると, 8列ちょうど1度ずつ青丸がくることが分かります。
(気づいたことはないかな?という問いかけの場面です)
数学的活動の第2段階では,生徒の気づきを集団で共有する場面をもちます。
現象を表で整理します。
\(a\) 1 2 3 4 5 6 7 8
\(5a\)  (mod 8) 5 2 7 4 1 6 3 0
この表はもちろん正直に,
5掛ける\(a\)をやってから8で割ってもいいですが,
5ずつ進んで8を超えたら折り返すという
アニメーションの様子を思い出させるのがいいと思います。(等差数列です)
数列の考え(逐次的・帰納的考え)はどうも本県は弱いようです。
私の仮説では,中学入試を体験している生徒が, ほとんどいないことが理由です。
\(n=5\), \(m=8\)と入れ替えてみましょう。
8段目でようやく右端に青丸が来ます。
1段おきに青丸がない段ができます。
それを除くと,3つ進んでは5を超えたら折り返しています。
(どうして?という問いかけの場面です)
そして,その8段を縦に見ると, 各列やはりちょうど1度ずつ青丸がくることが分かります。
\(a\) 1 2 3 4 5
\(8a\)  (mod 5) 3 1 4 2 0
なぜ各列ちょうどひとつずつになるのか。 推論に入ります。
2つの整数に対して, それぞれ5倍したときの8で割った余りが等しいとしましょう。
数式で表現すると,
整数\(a\), \(a^\prime\)に対して,
\(5a+8k=5a^\prime\)なる整数\(k\)があると仮定できます。
すなわち,\(8k=5(a^\prime-a)\)
8と5の最小公倍数は明らかな公倍数\(8\times 5\)であったから, \(a^\prime-a\)は8の倍数です。
特に整数\(a\), \(a^\prime\)の差が8未満であれば0,
すなわち\(a\)と\(a^\prime\)は等しいことになります。
対偶をとって,
2つの整数が異なるならば, 5倍した数の8で割った余りは異なる。
この命題は,互いに素でないならば成り立たない。
\(a\) 1 2 3 4
\(12a\)  (mod 16) 12 8 4 0
高校ならば生徒の能力に合わせて,説明を考えさせたい。
これを含めての数学的活動です。
2つの整数に対して, それぞれ12倍したときの16で割った余りが等しいとしましょう。
数式で表現すると,
整数\(a\), \(a^\prime\)に対して,
\(12a+16k=12a^\prime\)なる整数\(k\)があると仮定できます。
すなわち,\(16k=12(a^\prime-a)\)
明らかな公倍数\(16\times 12\)は最小公倍数ではありませんでした。
\(a^\prime-a\)は4の倍数です。
特に整数\(a\), \(a^\prime\)の差が16未満であれば
0,4, 8, 12の4通りあります。
したがって,
\(m\)の倍数の\(n\)を法とする余りを考えると,
2つの数の最大公約数が分かるのです。
ここまでくると,後は互除法に至るのは簡単です。
\(m < n\)ならば,逆に \(n\)の倍数の\(m\)を法とする余りを考えればよい。
それは\(n\)の\(m\)で割った余り\(r\)の倍数を\(m\)を法として考えることと同じです。
アニメーション
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