121128 初版 121208 更新
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MathJaxがあまりにいいので, 調子に乗って書いてみる
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どうやらそろそろ,\(\mathbb{Q}\)上既約な2次式についての理論を
まとめたほうがよさそうだ。
3次以上の既約多項式を扱う機会は高校ではほとんどない。
高校で扱う代数的な数は結局2次方程式の解レベルである。
教科書にはあまり取り扱っていないので,ここに記す。

αを2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の解とするとき,
αを2次式\(ax^2+bx+c\)の零点という。
2次式という場合,この\(a\)は零でないので,
零点を考える場合には\(a\)を1として十分である。
以下\(x^2\)の係数は1として,
有理数係数の2次式\(x^2+ax+b\)を考える。
有理数係数の2次式\(x^2+ax+b\)の零点が無理数であるとき,
この2次式は\(\mathbb{Q}\)上既約であるという。
有理数の範囲では因数分解できないことと同値である。
スーパー剰余の定理
有理係数の2次式\(g(x)=x^2+px+q\)について,
多項式\(f(x)\)を\(g(x)\)で割った余りは高々1次式で\(ax+b\)とする。
αを\(g(x)\)の零点とすると,\(f(\alpha)=a\alpha+b\)
証明は普通の 剰余の定理と 同じであり,
除法の原理
\(f(x)-g(x)q(x)=ax+b\) ただし\(q(x)\)は\(f(x)\)を\(g(x)\)で割った商
を使う。
もちろん\(\mathbb{Q}\)上既約でなくてもいい。
\(\alpha=2-\sqrt{2}\), \(f(x)=x^3-3x^2+4x-2\)のとき,
\(f(\alpha)\)を計算してみる。
よく問題集,参考書にありがちな問題である。
参考書には割り算を利用して,なんて書いてあると,
どうしても利用しなくてはいけない気になるが,そんなことはない。
代入して普通に展開できる計算力も大切である。
問題は,従来の方法では2次式での割り算が厄介で,
割り算も間違うし,そのくらいなら普通に代入がいいと思うくらいなのである。
それを解消するのが,ハイパー組立除法®(笑)(super, hyper, ultra なんでもいい)である。
(理論と方法)
αは\(x^2-4x+2\)の零点なので
\(f(x)\)をこれで割ってみると,
\(1\)\(-3\)\(4\)\(-2\)
\(-2\)\(-2\)\(-2\)
\(4\)\(4\)\(4\)
\(1\)\(1\)\(6\)\(-4\)
商は\(x+1\),余りは\(6x-4\)である。
よって,\(f(\alpha)=6\alpha-4=8-6\sqrt{2}\)

次数下げで求める方法も書いておく。

αは\(x^2-4x+2\)の零点なので,\(\alpha^2=4\alpha-2\)
\(\alpha^3=\alpha\cdot\alpha^2\) \(=\alpha(4\alpha-2)=4\alpha^2-2\alpha\) \(=4(4\alpha-2)-2\alpha=14\alpha-8\)
\(f(\alpha)=\alpha^3-3\alpha^3+4\alpha-2\) \(=(14\alpha-8)-3(4\alpha-2)+4\alpha-2=6\alpha-4\)

こうやって,帰納的に(逐次的に)1次式に落とすことも大切であるが,
2次の組立除法のほうが楽である。

応用