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MathJaxがあまりにいいので,
調子に乗って書いてみる
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どうやらそろそろ,Q上既約な2次式についての理論を
まとめたほうがよさそうだ。
3次以上の既約多項式を扱う機会は高校ではほとんどない。
高校で扱う代数的な数は結局2次方程式の解レベルである。
教科書にはあまり取り扱っていないので,ここに記す。
αを2次方程式ax2+bx+c=0の解とするとき,
αを2次式ax2+bx+cの零点という。
2次式という場合,このaは零でないので,
零点を考える場合にはaを1として十分である。
以下x2の係数は1として,
有理数係数の2次式x2+ax+bを考える。
有理数係数の2次式x2+ax+bの零点が無理数であるとき,
この2次式はQ上既約であるという。
有理数の範囲では因数分解できないことと同値である。
スーパー剰余の定理
有理係数の2次式g(x)=x2+px+qについて,
多項式f(x)をg(x)で割った余りは高々1次式でax+bとする。
αをg(x)の零点とすると,f(α)=aα+b
証明は普通の
剰余の定理と
同じであり,
除法の原理
f(x)−g(x)q(x)=ax+b ただし
q(x)は
f(x)を
g(x)で割った商
を使う。
もちろん
Q上既約でなくてもいい。
α=2−√2, f(x)=x3−3x2+4x−2のとき,
f(α)を計算してみる。
よく問題集,参考書にありがちな問題である。
参考書には割り算を利用して,なんて書いてあると,
どうしても利用しなくてはいけない気になるが,そんなことはない。
代入して普通に展開できる計算力も大切である。
問題は,従来の方法では2次式での割り算が厄介で,
割り算も間違うし,そのくらいなら普通に代入がいいと思うくらいなのである。
それを解消するのが,ハイパー組立除法®(笑)(super, hyper, ultra なんでもいい)である。
(
理論と方法)
αはx2−4x+2の零点なので
f(x)をこれで割ってみると,
商はx+1,余りは6x−4である。
よって,f(α)=6α−4=8−6√2
次数下げで求める方法も書いておく。
αはx2−4x+2の零点なので,α2=4α−2
α3=α⋅α2
=α(4α−2)=4α2−2α
=4(4α−2)−2α=14α−8
f(α)=α3−3α3+4α−2
=(14α−8)−3(4α−2)+4α−2=6α−4
こうやって,帰納的に(逐次的に)1次式に落とすことも大切であるが,
2次の組立除法のほうが楽である。