121006 初版

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121006-1の問題について

全国理数科研究大会は大変興味深いものであった。 私たちにも研修の機会は必要である。 それもネットや近場でなくて遠いほうがいい。

今日の問題は,案外面白い問題であった。
\(k>1\)とする。
\(0 \leqq x \leqq \dfrac{\pi}{2}\)における, \(f(x)=k\sin x+\cos x\)の最大値と最小値を求めてみる。

最大値・最小値というのは, ここで述べるように, 集合の考えで説明するのが一番いい。

\(f(x)\)の\(x\)にいろいろな値を入れてみて
値の一番大きいのが最大値である。
この見方(というより定義だな)は当たり前だが,絶対である。
関数によって手法が違う。 何も考えないのなら微分法を用いる。

今日もぶつぶつ呟きながら解説したが, 答えではなくプロセスを自分で考えることは大切で,
その習慣をもってほしいな。
この問題なら,ああ合成だな。
と思う前に代入すると,少なくとも次のことがわかる。

\(f(0)=1\), \(f\left(\dfrac{\pi}{2}\right)=k\)
仮定\(k>1\)より,\(f(0) < f\left(\dfrac{\pi}{2}\right)\)
無限個の値を代入するのは無理だが,両端くらいはやってみよう。
例えば,1次関数や単純な指数・対数関数,無理関数くらいならこれでいいじゃないか。
(その区間で増減が単調なものなら)
この\(f(x)\)はこの区間では第1項が単調に増加,第2項は単調に減少であるから, 何らかの手を打たなければならない。
2項をまとめるのは, 2次式の平方完成, 三角関数の合成, 相加平均相乗平均の大小関係 なんていう手がすぐ思いつくが,
これは合成だよな。
\(0\leqq x\leqq 3\)において,\(x^2+5x\)の最大値,最小値を求めよ。
なんて問題で,平方完成をするのはどうかと思うが,
\(x^2+5x\)は\(x < -\dfrac{5}{2}\)で減少,\(-\dfrac{5}{2} < x\)で増加と 説明しなくてはいけないかな。
\(x>0\)で第1項増加,第2項も増加じゃだめかね。 納得してもらえればそれでいいのでは。
まあ,平方完成がいらないとはいわない。

\(f(x)=k\sin x+\cos x=r\sin(x+\alpha)\)
ここで,\(r=\sqrt{k^2+1}\)で, \(\alpha\)は\((\cos\alpha,\sin\alpha)=\left(\frac{k}{r},\frac{1}{r}\right)\) を満たす数。

このとき,仮定\(k>1\)はどう使われるのだろうか。
図を書いて説明してもよいが,

\(k>1\)のとき,\(0 <\alpha < \dfrac{\pi}{4}\)である。
正弦と余弦は
\(0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\)において,
\(0 < \sin\theta < 1\), \(0 < \cos\theta < 1\)
\(\sin\theta\)は増加,\(\cos\theta\)は減少,
\(0 < \theta <\dfrac{\pi}{4}\Longleftrightarrow \sin\theta < \cos\theta\)
\(\dfrac{\pi}{4} < \theta <\dfrac{\pi}{2}\Longleftrightarrow \sin\theta > \cos\theta\)
は,意識すべき事象だと思う。

最大値は\(\sqrt{k^2+1}\), 最小値は1
なのだが,ちゃんと説明すると,
\(x_1=\dfrac{\pi}{2}-\alpha\)は\(0 <\alpha < \dfrac{\pi}{4}\)なので, \(0 < x_1 < \dfrac{\pi}{2}\)である。
\(r\sin(x+\alpha)\)は\(0 < x < x_1\)で増加,\(x_1 < x < \dfrac{\pi}{2}\)で減少
\(f(0) < f\left(\dfrac{\pi}{2}\right)\)
hence,
\(f(x)\)は\(x=x_1\)で最大,\(x=0\)で最小となる。
円を用いた図や,グラフや,今みたいに表の考えや, 式での処理なんかで(それらを複合して)答えに至る説明をしてもよい。

\(x\) 0 \(x_1\) \(\dfrac{\pi}{2}\)
\(x+\alpha\) \(\alpha\) \(\dfrac{\pi}{2}\) \(\dfrac{\pi}{2}+\alpha\)
\(f(x)\) 1 \(\sqrt{k^2+1}\)\(k\)