121009 初版

MathJaxがあまりにいいので, 調子に乗って書いてみる
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いいところ

残念なところ

不定方程式と互除法

互除法を用いた不定方程式の解法はこちら

最近は,数学Aにユークリッドの互除法がある。
課題学習に,なんて言っているが,どうだろうか。
ただのアルゴリズムだけで,感動があるだろうか。
だから何なのということにならないだろうか。

このごろは,
実験からそこに秘められた数理を探る。
なぜその理論ができたのか必要性を数学史や科学史で紐解く。
という授業展開を考えている。

\(y=\dfrac{32}{45}x+\dfrac{1}{9}\)
\(\left(0,\dfrac{1}{9}\right)\)から, 点をこの直線上,右に打ち出して,
最初に通る格子点の座標を求めたい。
ユークリッドの互除法との関連だとは言わないことにする。

近づく様子をみるというのは,以下の意味である。

\(45y-5=32x\) (\(y\), \(x\)は整数)
\(x\)でもよいが,\(y\)のほうが小さくてすむので, \(y\)について考える。
格子との交わり具合をみてみる。
(時間があればSVGまたはCanvasを使って図にしてみる。)

\(y=1\)のとき,\(x=\dfrac{40}{32}=1+\dfrac{8}{32}\)  格子点から右に\(\dfrac{8}{32}\)ずれている
\(y=2\)のとき,\(x=\dfrac{85}{32}=2+\dfrac{21}{32}\)  格子点から右に\(\dfrac{21}{32}\)ずれている  (格子点から左に\(\dfrac{11}{32}\)ずれている)
\(y=3\)のとき,\(x=\dfrac{130}{32}=4+\dfrac{2}{32}\)  格子点から右に\(\dfrac{2}{32}\)ずれている
残念!!
でも近づいているでしょ。

余りの考えの大切さを分かってほしい。
整数部分と小数部分の話題でも,結局余りの話であるし,
連分数や\(n\)進数展開も同じはしたの考えである。
それは,いずれ別の機会に載せることにする。
根底に流れる思想は同じなのである。

お分かりの通り,\(y\)がひとつ増えるたびに, \(x\)は格子点に\(\dfrac{13}{32}\)だけ近づく
この13は45を32で割った余りである。
だから,

\(45y-5=32x\) (\(y\), \(x\)は整数)を満たす解を求めることと
\(13y-5=32y_1\) (\(y_1\), \(y\)は整数)を満たす解を求めること
つまり\(32y_1+5=13y\) (\(y_1\), \(y\)は整数)を満たす解を求めること
は,同じことなのである。

\(y\) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
\(45y\) (mod 32) 13 26 7 20 1 14 27 8 21 2
\(45y-5\) (mod 32) 8 21 2 15 28 9 22 3 16 29
\(y\) 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
\(45y\) (mod 32) 15 28 9 22 3 16 29 10 23 4
\(45y-5\) (mod 32) 10 23 4 17 30 11 24 5 18 31
\(y\) 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
\(45y\) (mod 32) 17 30 11 24 5 18 31 12 25 6 19 0
\(45y-5\) (mod 32) 12 25 6 19 0 13 26 7 20 1 14 27

こういう様子を,計算で実験してそれをもとに推論し理論とすることが,
数学的活動なのではないかと思っている。

\(y_1\) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
\(32y_1\) (mod 13) 6 12 5 11 4 10 3 9 2 8 1 7 0
\(32y_1+5\) (mod 13) 11 4 10 3 9 2 8 1 7 0 6 12 5
\(y_2\) 1 2 3 4 5 6
\(13y_2\) (mod 6) 1 2 3 4 5 0
\(13y_2-5\) (mod 6) 2 3 4 5 0 1
13×5-5=6×10
32×10+5=13×25
45×25-5=32×35

これって,互除法だよね。
最初に32分のいくつで見ているということは,
32分の1スケールの正方形で見て,
整数1進むということと,45と13の関係を考えてみよう。
これが,45:32じゃなくて,45:17だったら,11というのが鍵になる。
整数と有理数の話はほとんど同じである。

長方形ビリヤードは?
縦と横の比が有理数であったら,正方形ビリヤードと同じはず。
縦横比が無理数,特に2次の代数的数だったら面白いと思う。