集合

160515 初版 160517 更新
 数学用語で集合とは,正の3の倍数の集まり のように, その集まりに属するか属さないかはっきりしている 集まりをいいます。 10 より小さい数の集まりは集合ですが, 10 に近い数の集まりは集合ではありません。

 5の倍数の集合をP, 10の倍数の集合をQ とします。 15 はP に属する数です。このことを15 は Pの要素である といいます。 記号では 15 ∈ P と記します。 15 はQ の要素ではありません。 記号では 15 ∉ Q と記します。
 Qの要素はすべてP の要素になっています。 このようなとき,Q はP の部分集合であるといいます。 記号では Q ⊂ P と記します。

 正の4の倍数の集合をA, 正の6の倍数の集合をB とします。 12のように,自然数で4でも6でも割り切れる数は, Aの要素であり しかもB の要素でもあります。 このような要素の集まりを考えると集合になって, AとBの共通部分 といいます。記号では A ∩ B と記します。
 18, 20, 24 のように自然数で4か6の少なくとも一方で割り切れる数は, Aの要素であるか または Bの要素です。 数学用語の または は両方成り立つことを許容しています。 このような要素の集まりを考えると集合になって, AとBの和集合 といいます。記号では A ∪ B と記します。
 どちらにも入っているものが共通部分, Aの要素とBの要素を寄せ集めたものが和集合です。
 10 はA の要素ではありません。 自然数で4で割り切れない数を集めると集合になって, A の補集合といいます。記号では\(\overline{A}\) と記します。 補集合を考えるときには,この場合の自然数のように, 前提となる全体集合を設定する必要があります。
 A と A の補集合のともに属する要素はありません。 要素のない集合のことを空集合と呼んでいます。 任意の集合は,自分自身と空集合の最低2つを部分集合としてもちます。 記号は \(A\cap \overline{A}=\phi\), \(\phi\subset A\), \(A\subset A\)
また,補集合の補集合は自分自身です(\(\overline{\bar{A}}=A\))。
 C = A ∩ B,  D = A ∪ B,  E = \(\overline{A} ∩ \overline{B}\),  F = \(\overline{A} ∪ \overline{B}\) とします。
 C の補集合を考えてみましょう。
 8 ∈ A,8 ∉ Bなので,8 ∉ C. すなわち,\(8\in\overline{C}\). 一方,8 ∉ E, 8 ∈ F なので, E は C の補集合としては小さすぎます。
また,8 ∈ D ですので, F は D の補集合としては大きすぎます。
 一般に \(\overline{A\cap B}= \overline{A}\cup\overline{B}\),  \(\overline{A\cup B}= \overline{A}\cap\overline{B}\) が成り立ちます。 これはド・モルガンの法則と呼ばれています。