140413 初版 140413 更新
不等式の証明
相加平均・相乗平均の大小関係という
有名な不等式を用いる証明のひとつである。
x > 0 のとき
\(x+\dfrac{1}{x} \geqq 2\) が成り立つことを証明する。
x > 0 のとき,
関数 \(f(x)=x+\dfrac{1}{x}\) が x = 1 で最小値 2 をとる
ということを説明することと同じだということも記しておく。
x > 0, \(\dfrac{1}{x}> 0\) だから,
相加平均・相乗平均の大小関係により,
\(x+\dfrac{1}{x}\geqq 2\sqrt{x\cdot\dfrac{1}{x}}\)
すなわち,\(x+\dfrac{1}{x}\geqq 2\)
等号が成り立つのは,
x > 0 かつ \(x=\dfrac{1}{x}\)
すなわち,x = 1 のときである。
(終)
理解しにくい証明なので解説をひとつ
\(A=x\), \(B=\dfrac{1}{x}\) とおく。
\(A+B=x+\dfrac{1}{x}\), \(2\sqrt{AB}=2\)
A > 0, B > 0 に注意すると
相加平均・相乗平均の大小関係により,
\(A+B\geqq 2\sqrt{AB}\) が成り立つ。
すなわち,\(x+\dfrac{1}{x}\geqq 2\)
等号が成り立つのは,
x > 0 かつ \(x=\dfrac{1}{x}\)
すなわち,x = 1 のときである。
(終)
相加平均・相乗平均の大小関係を使わない証明をひとつ
\(x+\dfrac{1}{x}-2\)
\(=\dfrac{x^2-2x+1}{x}=\dfrac{(x-1)^2}{x}\)
x > 0 より,この式は 0 以上の値をとる。
よって,\(x+\dfrac{1}{x}\geqq 2\)
等号が成り立つのは
x> 0 かつ \((x-1)^2=0\)
すなわち,x = 1 のときである。
(終)
最小値を求める問題での活用を載せる。
a > 0, b > 0 のとき,次の式のとりうる値の範囲を求めよ。
\(F=\left(a+\dfrac{1}{b}\right)\left(b+\dfrac{4}{a}\right)\)
\(F=ab+\dfrac{4}{ab}+5\)
ここで,ab > 0, \(\dfrac{4}{ab} > 0\), 相加平均・相乗平均の大小関係より
\(ab+\dfrac{4}{ab}\geqq 4\)
したがって,F ≧ 9
ab = 2 のとき F = 9 をとる