130126 初版
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相加平均 相乗平均

例えば,x > 0 のときの \(f(x)=x+\dfrac{4}{x}\) の値の変化には このような 現象がある。
現象を数学的に説明することを,私はそのことの数理を探究する, ということにしている。
発達段階に応じて,また,多角的に説明できたらいいことである。
そのときには,段階に応じた共通の原点(公理のようなこと)までつめればいい。
その公理は段階に応じて変わるのである。
小学生の視点と,中学生の視点と,高校生の視点と,研究者の視点は違ってくるが,
それがスパイラルということなのかもしれない。
最初に理論があるのではなく,現象が出発点である。
でもなぜかその裏に理論が存在している。 それが,不思議であり,面白くもあり,美しくもある。

いくつかの数の和をとって,個数で割ったものを相加平均という。
例えば,2数 a, b の相加平均は \(\dfrac{a+b}{2}\)である。
いくつかの数の積をとって,個数乗根をとったものを相乗平均という。
面倒だから,正の数の相乗平均を考えることにする。
例えば,2数 a, b の相乗平均は \(\sqrt{ab}\)である。
a \(\dfrac{1}{2}\) \(1\) \(\dfrac{3}{2}\) \(2\) \(\dfrac{5}{2}\) \(3\) \(\dfrac{7}{2}\)
b 2 2 2 2 2 2 2
相加平均 \(\dfrac{5}{4}\) \(\dfrac{3}{2}\) \(\dfrac{7}{4}\) \(2\) \(\dfrac{9}{4}\) \(\dfrac{5}{2}\) \(\dfrac{11}{4}\)
相乗平均 1 \(\sqrt{2}\) \(\sqrt{3}\) \(2\) \(\sqrt{5}\) \(\sqrt{6}\) \(\sqrt{7}\)

次のような関係が成り立つ。

いくつかの正の数があったとき, 相加平均は相乗平均より小さくない。
すなわち,a>0,  b>0, のとき, \(\dfrac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}\)
説明はいくつかあって,
2次方程式の 実数解条件を使うと,
2つの正の数 a, b が 2次方程式 \(x^2-px+q=0\) の解であるとすると,
\(p^2-4q\geqq 0\) でなければならないが,
p=a+b,  q=ab  だから, \((a+b)^2\geqq 4ab\)
よって,\(a+b\geqq 2\sqrt{ab}\)  すなわち \(\dfrac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}\)
よくあるのは,
どんな正の数 a, b でも \(\left(\sqrt{a}-\sqrt{b}\right)^2\geqq 0\)
ところで, \(\left(\sqrt{a}-\sqrt{b}\right)^2=a+b-2\sqrt{ab}\)
ゆえに,どんな正の数 a, b でも \(\dfrac{a+b}{2}\geqq\sqrt{ab}\)