等式

160524 初版 160604 更新
 \((a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca\), \((x+1)^2=x^2+2x+1\), \(x(x+1)=6\)  のように,2つの式が等号で結ばれたものも 式と呼ばれることがあります。 違いを明らかにするときには,これを 関係式 と呼ぶことにします。 前2つは等号で結ばれた2つの式は同値です。 最後の1つは同値ではありません。 等式 A = B において,A と B が同値であるとき,つまり 文字がどのような値をとってもA と B の値が等しいとき, この等式は 恒等式 であるといいます。 そうでないとき,すなわち, ある値にしか等しくならないとき, 言い換えると,等しくなる値が制限されているとき,方程式 と呼びます。
 等式には次の性質があります。
a = b ならば,
任意の c について,a + c = b + c
任意の c について,a - c = b - c
任意の c について,ac = bc
0 でない任意の c について, \(\dfrac{a}{c}=\dfrac{b}{c}\)
 2つの式 A, B の文字の並びが同じであるならば, 等式 A = B は恒等式になります。
 例えば, A = a(x + 1)2 + b(x + 1) + c, B = 3x2 + 2x + 1 として, (a, b, c) = (3, -4, 2) …① ならば,A = B は恒等式となります。
逆に,① は 恒等式になるための 必要条件でしょうか。 ① 以外に恒等式になることがあるでしょうか。
常に A = B ならば x = -1 のときに A と B は同じ値になるはずです。
したがって,c = 2 …② は必要条件の一つです。
x = 0 でも同じ値になるはずです。 したがって,a + b + c = 1 …③
同様に,x を 1 として, 4a + 2b + c = 6 …④
②③④ を同時に満たすのは ① だけですから, ① は恒等式になるための必要かつ十分な条件であるといえます。