楕円

170106 初版 170106 更新

定義

 ある2定点F, F' (焦点 focus) があって, F からと F' からの距離の和が一定である点の軌跡を楕円といいます。

例 1

焦点 F(3, 0), F'(-3, 0)
FP + F'P = 10 (一定)とします。
A(a, 0) を 楕円 と x軸の正の部分 との共有点とすると, a の満たすべき式は,
(a - 3) + (a + 3) = 10
ゆえに,a = 5
また, B(0, b) を 楕円 と x軸の正の部分 との共有点とすると, b の満たすべき式は,
32 + b2 = 52
ゆえに,b = 4
この楕円は,長軸の長さが10, 短軸の長さが8,
K(5, 4), L(-5, 4), M(-5, -4), N(5, -4) を頂点とする 長方形KLMN に内接します。

直交座標による表示

楕円上の点を P(x, y)
焦点 F(c, 0), F'(-c, 0)
FP + F'P = 2a (一定)とします。
x, y の満たすべき式は
\(\sqrt{(x-c)^2+y^2}+\sqrt{(x+c)^2+y^2}=2a\) … ①
① を整理します。
\(\sqrt{(x+c)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x-c)^2+y^2}\)
\((x+c)^2+y^2=4a^2+(x-c)^2+y^2-4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}\)
\(a\sqrt{(x-c)^2+y^2}=a^2-cx\)
\(a^2(x^2+y^2+c^2-2cx)=a^4+c^2x^2-2a^2cx\)
\((a^2-c^2)x^2+a^2y^2=a^2(a^2-c^2)\)
ここで,\(a^2-c^2=b^2\) とおいて,
\(\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1\)

例 2 楕円の外接長方形

楕円 \(\dfrac{x^2}{9}+\dfrac{y^2}{4}=1\) について考えてみましょう。
横長の楕円で,長軸の長さは6, 短軸の長さは4 です。
K(3, 2), L(-3, 2), M(-3, -2), N(3, -2) を頂点とする 長方形KLMN に内接します。
焦点は x軸上にあり (c, 0) とすると,
c の満たすべき式は, c2 + 22 = 32
ゆえに,焦点の座標は \((\sqrt{5},0)\), \((-\sqrt{5},0)\) です。
定義と特別な点を使って,なるべく覚えるものを減らすとよいでしょう。

例 3 楕円の平行移動

楕円 \(\dfrac{(x-2)^2}{16}+\dfrac{(y+1)^2}{9}=1\) について考えてみましょう。
これは,\(\dfrac{x^2}{16}+\dfrac{y^2}{9}=1\) を x 軸方向 2, y 軸方向 -1 平行移動した図形です。
横長の楕円で,長軸の長さは8, 短軸の長さは6 です。
K(6, 2), L(-2, 2), M(-2, -4), N(6, -4) を頂点とする 長方形KLMN に内接します。
x 軸との交点の x 座標は,
\(\dfrac{(x-2)^2}{16}=\dfrac{8}{9}\) より
\(\left(2+\dfrac{8\sqrt{2}}{3},0\right)\), \(\left(2-\dfrac{8\sqrt{2}}{3},0\right)\) です。
平方式のままの処理のよさを感じます。
y 軸との交点の x 座標は,
\(\dfrac{(y+1)^2}{9}=\dfrac{3}{4}\) より
\(\left(0, -1+\dfrac{3\sqrt{3}}{2}\right)\), \(\left(0, -1-\dfrac{3\sqrt{3}}{2}\right)\) です。
平方式のままの処理のよさを感じます。
焦点の座標は \((2+\sqrt{7},-1)\), \((2-\sqrt{7},-1)\) です。
定義と特別な点を使って,なるべく覚えるものを減らすとよいでしょう。