弧度法

170512 初版 180120 更新
 点O を端点とする半直線OA があるとします。 ある基準の状態を 始線 と呼ぶことにします。
また,OA = r とします。
 半直線OA をO を中心に回転したものを動径 と呼ぶことにします。 このときの点A を点P と呼びなおすことにします。
点A の A からP までの移動距離(道程)を ℓ とします。 回転角POA が 1周に満たない場合は,扇形OAP の弧の長さ といってもいいでしょう。 ただし,左回りの場合を正とします。
 このとき,ℓ は r に比例しますから, \(\dfrac{\ell}{r}\) を この回転角の大きさ θ と定義します。
このような角の大きさの測り方を弧度法,従来の方法を度数法と呼びます。
 この定義により,1周は 2π,半周が π となります。 つまり,180度が π になります。 π ラジアン(radian) と呼びます。
有名角の度数法と弧度法の対応は次のとおりです。
度数法 360° 180° 90° 60° 45° 30° 15°
弧度法 π \(\dfrac{\pi}{2}\) \(\dfrac{\pi}{3}\) \(\dfrac{\pi}{4}\) \(\dfrac{\pi}{6}\) \(\dfrac{\pi}{12}\)
 したがって,扇形OAB の中心角AOB が 1ラジアンであるとき, 半径と弧の長さは等しいです。
つまり,\({\rm OA}={\rm OB}=\stackrel{\frown}{\rm AB}\)
二等辺三角形OAB の辺AB の長さは OA より短いですから, 1ラジアン は度数法でいえば 60°よりも小さい角です。
 始線が θ だけ回転した動径を,角θ の動径と呼ぶことにします。
 例えば,\(\dfrac{\pi}{4}\) の動径は,\(\dfrac{9}{4}\pi\) の動径と一致します。
一般に 2つの動径 α, β は
α - β = 2πn なる整数 n が存在するとき,
同じ動径になります。
このとき,α を 代表と呼ぶことにします。
例えば,同一な動径を表す … \(-\dfrac{15}{4}\pi\),  \(-\dfrac{7}{4}\pi\),  \(\dfrac{\pi}{4}\),  \(\dfrac{9}{4}\pi\),  \(\dfrac{17}{4}\pi\),  \(\dfrac{25}{4}\pi\),  … は,\(\dfrac{\pi}{4}\) を代表する動径と呼ぶことにします。
 半径r, 中心角θ の扇形について考えてみます。
 半径が等しいとき,弧の長さℓ は中心角に比例します。
\(\ell : 2\pi r=\theta : 2\pi\) ですから, ℓ = rθ …① が成り立ちます。
 半径が等しいとき,面積 S も中心角に比例します。
\(S : \pi r^2=\theta : 2\pi\) ですから, \(S=\dfrac{1}{2}r^2\theta\) …② が成り立ちます。
 また,① ② より
\(S=\dfrac{1}{2}r\ell\) が成り立ちます。