121223 初版
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逆の考えは、とても基本的な考えである。
数学には逆の考えがふたつある。
ひとつは,逆の命題。
ふたつめは, 逆の対応 である。

数列と関数の考えは、ほとんど違わないと思う。
高校で考察する関数も, 表を用いて書くのがよいと思う。

xの3乗
\(x\) -3 -2 -1 0 1 2 3 4 \(a\) \(-a\)
\(x^3\) -27 -8 -1 0 1 8 27 64 \(a^3\) \(-a^3\)

この逆対応が,立方根である。
\(x^3:\ x\mapsto x^3\)の対応が1対1であるから, 逆対応は1対1である。
すなわち,

3乗して\(a\) となる数を\(a\) の立方根という。
0の立方根は0のみである。
\(a\)が正の数のときは,正の数が1つ\(\sqrt[3]{a}\) と虚数が2つある。
\(a\)が負の数のときは,負の数が1つ\(\sqrt[3]{a}\) と虚数が2つある。
また,\(\sqrt[3]{-a}=-\sqrt[3]{a}\) である。

新しい記号が出てきた。確認しよう。
\(\sqrt[3]{a}\) はあくまで,ひとつの数を表している。


1の立方根は1, \(\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\), \(\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}\)である。 \(\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\) (正確にはどちらでもよい)はよくωと書かれる。
8の立方根は2, 2ω 2ω² である。2の他は虚数である。
9の立方根は\(\sqrt[3]{9}\) とあと虚数が2つある。これは有理数ではない。
-9の立方根は\(-\sqrt[3]{9}\) とあと虚数が2つある。これは有理数ではない。
24の立方根のうち,実数のものは\(\sqrt[3]{24}\) であるが, これは\(2\sqrt[3]{3}\) と表すことができる。

\(\sqrt[3]{3}+\sqrt[3]{24}=\sqrt[3]{3}+2\sqrt[3]{3}=3\sqrt[3]{3}=\sqrt[3]{81}\)

\(\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{3}\)は\(\sqrt[3]{5}\)より大きい。
なぜならば,\((\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{3})^3=5+3\sqrt[3]{12}+3\sqrt[3]{18}\)

実数としての性質も大切である。
\(x_1 < x_2\)である2つの数\(x_1\), \(x_2\)に対して,
\({x_1}^3 < {x_2}^3\)であったから,

2つの数\(a\), \(b\) に対して,
\(a < b\) ⇔ \(\sqrt[3]{a} < \sqrt[3]{b}\)

\(2=\sqrt[3]{8}<\sqrt[3]{12}<\sqrt[3]{27}=3\)なので,
\(3+\sqrt[3]{12}\)は5より大きく,6より小さい。
\(3-\sqrt[3]{12}\)は正の数であるが,1より小さい。
\(x\) -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 8 12 24
\(\sqrt[3]{x}\) \(-\sqrt[3]{4}\) \(-\sqrt[3]{3}\) \(-\sqrt[3]{2}\) -1 0 1 \(\sqrt[3]{2}\) \(\sqrt[3]{3}\) \(\sqrt[3]{4}\) 2 \(\sqrt[3]{12}\) \(2\sqrt[3]{3}\)

\(2\sqrt[3]{3}\)について考えてみる。

まず,\((2\sqrt[3]{3})^3=2^3\cdot(\sqrt[3]{3})^3=24\)であるから,
\(2\sqrt[3]{3}=\sqrt[3]{24}\)である。
大小関係なら,\(\sqrt[3]{24}\)のほうがよいときがある。
\(1 < \sqrt[3]{3} < 2\)だから,\(2 < 2\sqrt[3]{3} < 4\)であるが,
\(2 < \sqrt[3]{24} < 3\)のほうがよりよい評価である。
\(2\sqrt[3]{3}\)がよい場面を紹介する。
計算の場面であるが,
集合Aを\(A=\{a+b\sqrt[3]{3}|\ a, bは有理数\}\)とすると,
\(\sqrt[3]{24}\in A\), \(\sqrt[3]{81}\in A\), \(\dfrac{1}{\sqrt[3]{9}}\in A\) だが,
\(\sqrt[3]{9}\not\in A\), \(\dfrac{1}{\sqrt[3]{3}}\not\in A\)
指数関数を考える際に,
\(2^1=2\), \(2^2=4\), であるが, \(2^\frac{4}{3}=2^{1+\frac{1}{3}}=2\sqrt[3]{2}\),  \(2^\frac{5}{3}=2^{1+\frac{2}{3}}=2\sqrt[3]{4}\) と見ることも,数の感覚を豊かにする。