130119 初版
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順列と組合せ,ジュンクミなんていうひともいうが,とても歯がゆい言葉である。
順列も異なるものか同じものを含むか, 全部並べるのか部分的に並べるのか, 一列に並べるのか円形に並べるのか, とそれぞれ少しずつ異なる。
重複順列と重複組合せという用語は難解である。 このあたり,数学用語というより,受験用語なのだろう。
ならべかえというと私の計算機(コンピュータ)ではまず並べ替えがでてくる。 替えという言葉はさらに私の計算機では「AにかえてBにする」とでてくる。 交代,交替,交換,言葉は難しい。

この頁では,置換を取り扱う。
関数で sin θ を t と置くというのとは違う。
異なるものの並べ換えについて語る。

異なるものを表すには,自然数が便利である。
例えば,5個の異なるものには,1, 2, 3, 4, 5と数を割り当てて抽象化する。
ラーメン屋さんなどにいったときに,2番テーブルさん などと呼ぶことと同じ発想である。

いくつかの異なるものを一列に並べる。

2つのもの 1, 2 の置換は, 12, 21 の2通りである。
これを互換という。

異なる2個の置換を \(\mathfrak{S}_2\), 3個の置換を\(\mathfrak{S}_3\)などと書くことにする。

3つのもの 1, 2, 3 の置換は,
123, 132, 213, 231, 312, 321 の6通りである。

\(\mathfrak{S}_2\)から\(\mathfrak{S}_3\)を作る方法をいくつか挙げる。

(I)
並び abc の a として1, 2, 3としたとき,
bcとして,残り2数を小さい順に並べたものを基点とする。
すなわち,123, 213, 312の3個を基点とする。 次に abc の bc に \(\mathfrak{S}_2\)による並べかえを行う。
すなわち,abc → abc, acb
123 → 123, 132
213 → 213, 231
312 → 312, 321
小さいものから順に現れるメリットはある。
(II)
\(\mathfrak{S}_2\) の元の末尾に3をつけたものを基点とする。
すなわち,123, 213
次に,それぞれ,2番と3番,1番と3番の互換を行う。 123 → 123, 132, 321
213 → 213, 231, 312
(III)
\(\mathfrak{S}_2\)のそれぞれの元 ab の前後およびあいだに3を入れる。
すなわち,ab → ab3, a3b, 3ab
12 → 123, 132, 312
21 → 213, 231, 321
計算機(コンピュータ)にやらせやすいのは(III)だろうか。

異なる4個の置換を\(\mathfrak{S}_4\)

4つのもの 1, 2, 3, 4 の置換は,
1234, 1243, 1324, 1343, 1423, 1432
2134, 2143, 2314, 2341, 2413, 2431
3124, 3142, 3214, 3241, 3412, 3421
4123, 4132, 4213, 4231, 4312, 4321
の24通りである。
ここにも分類の考えがでてきている。

\(\mathfrak{S}_3\)から\(\mathfrak{S}_4\)を作る方法をいくつか挙げる。
数学のもつ表現力がクローズアップされてきている。
私たちもその表現力を身につけたいところである。 ここでは状態を定式化するために自然数を用いている。
さらに,操作を定式化してみよう。

(I)
並び abcd の a として1, 2, 3, 4としたとき,
bcdとして,残り3数を小さい順に並べたものを基点とする。
すなわち,1234, 2134, 3124, 4123の4個を基点とする。 次に abcd の bcd に \(\mathfrak{S}_3\)による並べかえを行う。
すなわち,
もと 123132213231312321
abcd abcdabdcacbdacdbadbcadcb
1234 123412431324134214231432
2134 213421432314234124132431
3124 312431423214324134123421
4123 412341324213423143124321
小さいものから順に現れるメリットはある。
並べかえの元を数で表すと,その数を並びの順番と見ることができる。
(II)
\(\mathfrak{S}_3\) の元の末尾に4をつけたものを基点とする。
すなわち,1234, 1324, 2134, 2314, 3124, 3214
次に,それぞれ,3番と4番,2番と4番,1番と4番の互換を行う。
1234 1234124314324231
1324 1324134214234321
2134 2134214324314132
2314 2314234124134312
3124 3124314234214123
3214 3214324134124213
並び順を入れ換えているので,
例えば,この表の3行目から4行目を作るには, 数字としての1と3を入れ換えればよい。
(III)
\(\mathfrak{S}_3\)のそれぞれの元 abc の前後およびあいだに4を入れる。
すなわち,abc → abc4, ab4c, a4bc, 4abc
123 1234124314234123
132 1324134214324132
213 2134214324134213
231 2314234124314231
312 3124314234124312
321 3214324134214321
\(\mathfrak{S}_4\)の元くらいは挙げられるようにしたい。

いろいろな説明があるが,
並び換えは逐次的(successive), 帰納的(inductive), 再帰的(recursive)な 考えである。
入れ子(マトリョーシカ人形)の状態になっている。
n! = n(n-1)(n-2)… 3 • 2 • 1 とする。
\(\mathfrak{S}_n\) の元の個数は n! である。