121126 初版 130908 更新

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三角形の外心ベクトルで表現してみたらどうなるでしょうか?
AB=5, BC=7, CA=3とよく知られている三角形外心を求めてみます。
具体的には\(\overrightarrow{\rm AB}=\vec{b}\), \(\overrightarrow{\rm AC}=\vec{c}\) として,外心Pについて,\(\overrightarrow{\rm AP}=s\vec{b}+t\vec{c}\)なる, \((s,t)\)を求めます。
まず
\(\vec{b}\cdot\vec{b}=|\vec{b}|^2={\rm AB}^2=25\)
\(\vec{c}\cdot\vec{c}=|\vec{c}|^2={\rm AC}^2=9\)
なにはなくとも,\(\vec{b}\)と\(\vec{c}\)の内積\(\vec{b}\cdot\vec{c}\)も 求めておきます。
三角形があったら,2辺の内積は求めておきたい。夾角を知るかわりです。
余弦定理を使ってもいいですが, ベクトルの問題なので,それらしくやります。
\({\rm BC}^2=|\overrightarrow{\rm BC}|^2=|\vec{c}-\vec{b}|^2=|\vec{b}|^2+|\vec{c}|^2-2\vec{b}\cdot\vec{c}\)なので,
\(\vec{b}\cdot\vec{c}=\dfrac{{\rm AB}^2+{\rm AC}^2-{\rm BC}^2}{2}=-\dfrac{15}{2}\)
もう一度いいますが, これが余弦定理のかわりです。
確かに,角Aの大きさは120°ですが。
次に,\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB}\)は求められるでしょうか。
答えは可能です。三角形PABはPA=PBの 二等辺三角形 で,3辺の長さが分かりますから,
さっきと同じ方法です。
PAの長さはいくらでしょうか。
外接円の半径です。
結局どこかの角の大きさは必要でした。
\(A=120^\circ\), BC=7を使って,正弦定理 によって,外接円の半径\(R\)は
\(2R=\dfrac{a}{\sin A}=7\div\dfrac{\sqrt{3}}{2}\)だから,\(R=\dfrac{7}{\sqrt{3}}\)
これでPAの長さが分かりました。
\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AB} =\dfrac{{\rm AP}^2+{\rm AB}^2-{\rm BP}^2}{2} =\dfrac{{\rm AB}^2}{2}=\dfrac{25}{2}\)
同様に,
\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\overrightarrow{\rm AC} =\dfrac{{\rm AP}^2+{\rm AC}^2-{\rm CP}^2}{2} =\dfrac{{\rm AC}^2}{2}=\dfrac{9}{2}\)
結局AP, BPの長さは知らなくてもよかったようです。
ちゃんとかくと,
AB=ACの二等辺三角形ABCにおいて, \(\overrightarrow{\rm BA}\cdot\overrightarrow{\rm BC} =\dfrac{{\rm BA}^2+{\rm BC}^2-{\rm AC}^2}{2} =\dfrac{{\rm BC}^2}{2}\)
これは正射影の考えでも説明できます。
\(\overrightarrow{\rm AP}=s\vec{b}+t\vec{c}\)
この両辺に\(\vec{b}\)を⌈掛けます⌋。このテクニックがcruxです。
\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\vec{b}=s\vec{b}\cdot\vec{b}+t\vec{c}\cdot\vec{b}\)
また,同様に,
\(\overrightarrow{\rm AP}\cdot\vec{c}=s\vec{b}\cdot\vec{c}+t\vec{c}\cdot\vec{c}\)
これで方程式ができました。
\(25s-\dfrac{15}{2}t=\dfrac{25}{2}\) かつ  \(-\dfrac{15}{2}s+9t=\dfrac{9}{2}\)
簡約して
\(10s-3t=5\) かつ  \(-5s+6t=3\)
したがって,\((s,t)=\left(\dfrac{13}{15},\dfrac{11}{9}\right)\)