微分の考え

161225 初版 170423 更新
 関数の値の変化を捉えよう という目的をもつ数学の分野が, 解析学 だと思います。 増減,とりうる値の範囲,値域,最大・最小 がキーワードとなります。
 f(x) = x2 - x とします。
x = 1 付近では増加でしょうか,減少でしょうか。
このような問題を考えてみましょう。
 数列と関数は似ています。 数列の規則性を見抜くために,自然と隣りの項との差をとります。 ちゃんとした用語を使うと階差数列です。 数列は離散的なものですから,「隣り」という考えができます。 関数ではどうすればよいでしょうか。
 関数 f(x) は 閉区間 a ≦ x ≦ b において, 連続だと仮定します。 連続とは高校ではグラフがつながっているという理解で十分です。
 y = f(x) において,  x が a から b まで変化するとき,
差分 f(b) - f(a) を y の増分と呼び Δy とかきます。 b - a を x の増分と呼び,Δx とかきます。
このとき,\(\dfrac{\varDelta y}{\varDelta x}\) を x が a から b まで変化したときの,f(x) の平均変化率といいます。 すなわち,
\(\dfrac{\varDelta y}{\varDelta x}=\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}\)
グラフにおいては,2点A(a, f(a)), B(b, f(b)) を結ぶ 線分ABの傾きになります。
B を A の「隣り」の点としたときの, x 方向の隔たりが分母,y 方向の隔たりが分子です。
 x が 1 から 2 まで変化するときの平均変化率は
\(\dfrac{f(2)-f(1)}{2-1}=2\)
 x が 1 から \(\dfrac{3}{2}\) まで変化するときの平均変化率は
\(\dfrac{f(\dfrac{3}{2})-f(1)}{\dfrac{3}{2}-1}=\dfrac{3}{2}\)
 x = 1 の「隣り」を x = 1 + h とします。
h が正なら右隣り,負なら左隣りを表すことができます。
 x が 1 から 1 + h まで変化するときの平均変化率は
\(\dfrac{f(1+h)-f(1)}{h}=1+h\) … ①
したがって,小さい正の数 h については この値は正の値なので, x = 1 付近では増加です。
 ① において,h を限りなく 0 に近づけたときの, 平均変化率の極限は,
グラフでは A(1, f(1)) における接線の傾きとなります。
解析の言葉では, x= 1 における f(x) の 変化率 または 微分係数と呼ばれます。
f'(1) とかいて,この場合 1 となります。
\(\displaystyle{f^\prime(1)=\lim_{h\rightarrow 0}\dfrac{f(1+h)-f(1)}{h}}\)
x = a において,
微分係数 \(\displaystyle{f^\prime(a)=\lim_{h\rightarrow 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}}\)
が存在するとき,
x = a において,f(x) は微分可能であるといいます。
a に対して f'(a) を対応させることによって, f(x) から 新しい関数 f'(x) が得られます。 f'(x) を f(x) の導関数といいます。
f から f' を求めることを f を (xで) 微分するといいます。
導関数を \(\dfrac{d}{dx}f(x)\), \(\dfrac{dy}{dx}\) などとかくことがあります。 ライプニッツ流の記法と呼んでいます。
f' の記法をニュートン流の記法と呼んでいます。