131019 初版 161206 更新
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2次関数の決定

この分野は他とは少し趣が違う。
数学を作っていく場面ではなく、 数学を使う場面である。

与えられた条件を数式で表す。
ほしい数値を方程式を解くことによって得る。
これも、紛れもない数学のよさである。
どちらかというと万人受けするよさである。

放物線 ① は、 放物線 ② \(y=2x^2\) を平行移動したもので、
点 A (2, 4) を通り、 頂点は直線 y = 2x-4 上にある。
放物線① の方程式を求めよう。
放物線の開き具合はわかっているので,
頂点の座標が分かれば,放物線は定まる。
そこで,
頂点を P (p, q) とおく。
このごろの生徒は、未知数を置けない。
問題文にあれば別だが、自分で設定できる生徒が減っている。
わからないものを,わからないとして,文字で置く。
問題を数学に乗せる一歩である。
次に,未知数の関係式を見つけよう。
P は 直線 y = 2x-4 上の点だから、q = 2p-4
最初から頂点を (p, 2p-4) と置いてしまえる生徒もいる。
このように与えられた条件を数式で表現している。
あとは、p を決めればよいのである。
数学なんだから、数式で表せるに決まっているでは了見が狭い。
自然科学は当然のこととして、社会科学も、 人文科学ですら、数式で表していこうという思想がある。
数学は、本来文系でも理系でもない。
国語が、文系のものでも理系のものでもないのと同じように。
さらに、 求める放物線① は、放物線② を平行移動したものだから、
方程式は \(y=2(x-p)^2+2p-4\) とかくことができる。
点 A を通るので、 \(2(2-p)^2+2p-4=4\)
これで、条件をすべて式にしたことになる。
未知数の関係式が見つかった。
次は,この方程式を解く。
この方程式は 整理すれば \(p^2-3p=0\)
これを解いて、 p = 0, 3
求める方程式は
\(y=2x^2-4\) または \(y=2(x-3)^2+2\)

条件を満たすものは、 1つではなくて2つだった。
そしてこれ以外にない。
条件を満たすものをすべて求めることができるのは、 感動に値する。

問題としてはたったこれだけだが、
哲学としては大きなものである。
条件を満たすものを、列挙していったのでは、 十分条件に過ぎない。(全体の(必要な)個数が分かっていれば別だ)
解の満たすべき条件を式で表してしまえるのは、 必要条件を記述しているといえる。
それが、欲しいものの条件を完全に言い換えているならば、必要かつ十分な条件である。
方程式を解くというのは、数学にしかないよさである。