130131 初版 130303 更新
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2. 数学的活動について

課題学習と数学的活動は分かつことのできない事柄だが, そこで私が最近好んで使う言葉が「数理」である。 「伝説の算数教科書<緑表紙>」(松宮哲夫著 岩波科学ライブラリー 135) という本に塩野直道の思想がかかれている。 (副題 塩野直道の考えたこと) その中から引用してみる。
緑表紙の算術教育の目的は 「児童の数理思想を開発し,日常生活を数理的に正しくするように指導すること」である。
また,違う頁に
昭和43年7月11日公布の小学校学習指導要領の算数科の目標は, 「日常の事象を数理的にとらえ,すじ道を立てて考え,統合的,発展的に考察し, 処理する能力と態度を育てる」という総括目標の下に具体的目標が四項目掲げられている。
と,かかれている。 私は数学的活動とはただ数学的な作業を生徒にさせればいいとは思わない。 実験→予想(命題・定理)→推論(証明)→知恵(公式化)→応用(練習)の一つの過程があるべきだと 思っている。 発達段階や生徒の実情に合わせて,題材を選ぶ必要があるが, 面白かったね,難しかったね,だけの感想にとどまっていては,数学ではないと思う。 学びなおしやスパイラル(私が最初に聞いたのは20年ほど前の初任者研修で, 当時の指導主事 T先生からである)という言葉もよく聞かれるが, 小・中学校でみた題材の高校流の切り口もあるはずである。
今年度本校は研究授業ラッシュであったが, B先生の平成24年度東京大学入試問題を題材にした, いわゆる確率漸化式の研究授業でも, C先生のパスカルの三角形と二項定理の研究授業においても, それぞれの先生が,実験から生徒に気づいたことを述べさせている。 その場面を私は定式化と呼んでいるが, そこで数式を持ち出すのが,現象の数理化だと感じている。
A先生の素材は大変興味深かったので, 先生の着眼に敬意を表するとともに,数学的な裏づけを記す。
つづく