SSH と 数学
この夏の思い出,数学の課題研究,または 方程式のガロア群

http://www.minamiazabu.net/math/tsubuyaki/141023/141023-a.html

SSH とは
 文部科学省は,SSH については, ここで 次のようにいっています。
 文部科学省では,将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため, 先進的な理数教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール」として指定し, 学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進,観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を 平成14年度より支援しています。
 私がなぜSSHを推進しているかというと, 私の教育への思い,特に数学教育への思いを 実現できる施策だと感じたからです。
 私が2004年にK高校へ赴任したころは, 進学重点支援の真っ最中。大学進学率向上が県の教育行政の目標のひとつでした。 そして,その中心は国公立大学進学者を増やすことです。 ですが,なんでもかんでも国公立というのは理解できないことでした。 また,数学の学力を上げることにはまったく異議はありませんし, それは当時よりも切実な課題として,現在も私たちの前に重く横たわっています。 04年当時はそろそろ物量作戦が限界に来ていると感じていました。 私は,難関大学合格者を増やすことには賛成しています。 当時ももちろんです。 なぜ,難関大学はいいか。 いいところに就職できる,明るい将来設計ができるということだけではありません。 難関大学には独特の人的ネットワークがあります。
 私は,単に点数だけで難関大学に進学したのでは, せっかくの大学の中でのネットワーク作りに 加われないのではないかと感じています。 私は SSH や SGH に指定されている高校で, こんなことをやってきた という経験を語れるか あるいは語れなくても骨身になっているかが, 難関大でその後のネットワークの一員になるための条件だと考えています。 どうこういっても, 名だたる進学校が SSH 指定校になっているのです。
 2008年に K 高校は SSH 指定校になります。 07年指定にはなりませんでした。 06年度末に出した申請ははねられています。 私が K 高校で SSH事業参加へを思いついたのは, 06年度のことで, 探究コースへの不満と B高校のSSHへの参加が直接のきっかけです。 私なんかが考えていることは, 誰かが考えていることで, 理数コースへの改組とセットで, 県からも SSH事業への参加が促されました。
 たびたび,引き合いに出すかもしれませんが, 医学科進学者を増やすための施策は,あまり賛成できません。 これは,メディカルコースにいる生徒やその保護者と話をすると実感します。 医師不足の名のもとに,社会から要請という本来の目的のほかに, その個人,一族の利益という側面のほうが相当大きいのです。  何のために医師になりたいのかという質問の答えが, それを端的に表しています。 「病気で困っている人を救いたい」 それ自身は尊いことですが, 「病気で困らないような社会を作りたい」ではないのです。 理学部,工学部,また法学部や文学部を目指す人は 自分たちの利益というものを一番には考えていません。 いま,私が目指しているのは, 優秀な生徒を医学科ではなく, よりよい社会めざして先導するリーダーに仕向けることです。 医師を目指す人には,病気で困っている人を救いたいという 高尚な目標に向かって,自らの努力で達成してもらいたいものです。 応援はいくらでもします。
 どんなに優秀な人間でも,ひとりでは世の中を動かすことはできません。 人的なネットワークが必要になってきます。 折しも地方創生がいわれています。 地方を活性化するには,地方をリードするものが必要です。 それは,やはり中央と対等に渡り合えるリーダーが必要です。 地方に優秀な大学がある必要がありませんが, 大企業,大きな雇用は必要です。 それには,地方に人的なネットワークをもつ優秀な人間が必要です。
 点数をとることだけが,数学教育か と思います。 物量作戦で点数が取れるようになっても,何のメリットもありません。 たとえ,難関大学に進学しても無意味でしょう。
 ちょっとつまらない教育になりそうだったときに, SSH という事業を耳にしたのです。 そう,現勤務校が 2002年(平成14年)にこの事業が日本で始まった最初の 指定校の一つになったのです。
 いま,SGH という事業が立ち上がりました。 SGH は SSH の進化形で,文部科学省は ここでこういっています。
 文部科学省では,高等学校等において,グローバル・リーダー育成に資する教育を通して, 生徒の社会課題に対する関心と深い教養,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け, もって,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図る「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」事業を 平成26年度から開始いたします。
 驚いたことに,つい先日(9月16日), 日本精機の社長さんが本校で講演された話の中に, グローバル人材の条件として,この3つのことを挙げられました。 どこかで,ご覧になったのかもしれませんが, グローバル企業のトップはこのことに共感をもっていることは確かなようです。 具体的に挙げられていましたので, 作文する際には参考になるかもしれません。
 SGH の方が,自由度が高いのは明白で, その分だけ作文が難しくなっています。 簡単に言うと,SSH は 理数,もっというと理科がセンターで,数学がサブ, とってつけたように英語,国語という感じです。 SGH は 英語,社会,国語が中心に関わるのですが, 数学が積極的に関与することもできる。 グローバルというと文系特に外国語のイメージがあるけれど, (数学は理系でも文系でもないのですが。) 英単語や構文を知っているだけでは, 英語が使えないのは周知の事実であり,現状ですね。 ディベート技術ということもあるけど, 技術だけあってもねえ。 例えば金沢大学附属高校では 数学も関わっている。 厄介だと思うか,上手く利用してやろうと思うかは,発想の転換です。 英語科が中心になるとことは面倒になるのですが(笑), 理科が中心で動くSSH よりは,数学にはメリットが大きいかもしれません。 やはり,数学は科学の奴隷か女王か どちらにしても関係が強い。 英語や社会とは関係が遠いですから,やりたいことができる気がしています。 哲学を持っている人がやりたいことを作文してしまえばいいのです。

つづく