整数の乗法・除法

160503 初版 160515 更新
 0 を基準に次々と右に3 ずつ加えて得られる, 次々と左に3ずつ減じて得られる左右に無限個並んでいる数の列を考えます。
…, -15, -12, -9, -6, -3, 0, 3, 6, 9, 12, 15, 18, …
これは,整数全体の部分集合でこの要素を 3の倍数 といいます。
例えば,21 は 0 に 3を 7回加えて得られます。 3 + 3 + 3 + 3 + 3 + 3 + 3 を 3 × 7 と書くことにします。
同じように,7の倍数を考えることができます。 一般に a × b と b × a は等しいことがわかります (交換法則)。 3 × 7 を 3・7 と書くことがあります。 a × b を ab と書きます。
(a × b) × c と a × (b × c) は等しいことがわかりますので (結合法則), a × b × c と書くことができます。 交換法則,結合法則によって,積は順序に依りません。 整数の掛け算は,一定数の繰り返しを意味しています。
 (a + b) m と am + bm は等しいことがわかります。
 m (a + b) と ma + mb も等しくなります。
 21 = 3 × 7 ですが,整数 a, b に対して, a = bk なる整数 k が存在するとき, a は b の倍数であるといいます。 b は a の約数であるともいいます。 例えば,21 は 3 の倍数です。7 の倍数でもあります。 3 は 21 の約数のうちの一つです。 7 も 21 の約数のうちの一つです。
 3の倍数の全体を集合 B0 とします。 整数全体の集合はよく \(\mathbb{Z}\) で表されます。 B0 は \(\mathbb{Z}\) の部分集合です。 ( \(B_0 \subset \mathbb{Z}\) と表します。) 整数だけど B0 に属さないものがあります。 例えば 16 です。 整数を小さい順に左から右へ並べたもののなかで, 3の倍数は0 を基準に定期的にありますが, 16 の最寄り左にある3の倍数を探します。 それは,15 で 3 × 5 です。 16 = 3 × 5 + 1 と表すことができますが, 5を 16を 3 で割った商, 16 と 15 との隔たりである 1 を余りと呼ぶことにします。
 一般に,正の整数 b に対して, bの倍数の全体を集合 B0 とします。 任意の整数 a に対して, B0 の要素で 小さい順に隣りどうしな b1, b2 (b1 < b2) で \(b_1\leqq a \lt b_2\) なるものが存在します。 b1 には b1 = bq なる整数 q があるので, a には a = bq + r を満たす,整数 q, r が一意に決まります。 特に r は 0 以上 b 未満の整数です。 q を a を b で割った商, r を余りといいます。 例えば,3で割ったとき,
35 に対しては,商 11, 余り 2
36 に対しては,商 12, 余り 0
37 に対しては,商 12, 余り 1
2 に対しては,商 0, 余り 2
7 に対しては,商 2, 余り 1
-7 に対しては,商 -3, 余り 2 となります。
 1 を基準に次々と右に2 ずつ掛けて得られる, 右に無限個並んでいる数の列を考えます。
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, …
これは,整数全体の部分集合でこの要素を 2の累乗 といいます。
 例えば,128 は 1 に 2を 7回掛けて得られます。 2・2・2・2・2・2・2 を 27 と書くことにします。
 この数列のある数 a の左隣の数は,a ÷ 2 で得られる数です。
 2の累乗の数列において,8 の 4つとなりは 128 ですから, 23・24 = 27 逆に,27÷24 = 23. また,乗法は順序に依らないので,(2×3)3 と 23×33 は等しい。
一般に, am・an = am+n, am÷an = am-n, (ab)n = an・bn, これを指数法則といいます。 2番目の式において, m が n 以下の数であるときの意味は 後で考えたいと思います。 1番目と2番目の式は累乗の数列(等比数列の一種) において,自然に現れる式です。