平均値の定理

161225 初版 161225 更新
 関数 f(x) は
閉区間 a ≦ x ≦ b において 連続 かつ
開区間 a < x < b において 微分可能 とします。
開区間で微分可能とは,その区間で導関数が連続である と言い換えられます。
平均値の定理とは
\(\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f^\prime(c)\), \(a\lt c\lt b\) … ① なる c がある
ことをいいます。
\(\dfrac{f(b) - f(a)}{b-a} = m \) … ② とおきます。
閉区間 a ≦ x ≦ b を n 個に分割して,
x0 = a,  x1,  x2,  x3,  … xn = b
δk = xk - xk-1 とします。
また,yk = f(xk),  εk = yk - yk-1 とします。
\(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n} \delta_k=b-a}\),  \(\displaystyle{\sum_{k=1}^{n} \varepsilon_k=f(b)-f(a)}\) がいえます。
いま,f(x) は 1次関数とします。
どのk でも δk が等しいとすると, どの εk も等しくなり
\(\delta_k=\dfrac{b-a}{n}\), \(\varepsilon_k=\dfrac{f(b)-f(a)}{n}\)
a < c < b なる任意の c に対して, \(m = \dfrac{\varepsilon_k}{\delta_k}=f^\prime(c)\)
これが,平均値の定理の言葉の由来です。
いま,どの k についても, \(m = \dfrac{\varepsilon_k}{\delta_k}\) … ③ とします。
\(f^\prime(x_k)\lt m\) を仮定します。
f'(x) は連続ですから,
\(f^\prime(x_k+\delta)\gt m\), \(0 \lt \delta \lt \delta_k\) なる δ が存在しないと「平均性」により ③ に矛盾します。
中間値の定理より ① を満たす c が存在するはずです。
\(f^\prime(x_k)\gt m\) としても同様です。
いま,ある k について, \(m \lt \dfrac{\varepsilon_k}{\delta_k}\) とします。
\(m \gt \dfrac{\varepsilon_l}{\delta_l}\) なる \(l\) が存在しないと, 「平均性」により ② に矛盾します。
f'(x) の連続性により, ① を満たす c が存在するはずです。