130323 初版 130323 更新
トップページ
このsite の読者は誰であるか,特に指定していない。
例えば,この章であれば,高校1年生が最初に学ぶときに読むとも 思っているが,
一度学校の授業で学んだ人が, 定期テストの復習のために読む人もいれば,
3年の受験時に読む人もいれば,
中学以下の生徒や大学生以上の一般の人かも知れない。
このごろ,学びなおしやスパイラルという言葉が, 算数・数学教育の世界で取り上げられるが,
発達段階に応じて,同じものでも深みを増してくるのは当然である。
このsite はそのように書くつもりであって, 算数・数学の啓発にしたいと考えている。
私も幼少のころは矢野健太郎先生や,遠山啓先生の本で, 数学の世界に魅せられた。
到底足元にも及ばないが, 数学とは何か,数学を学ぶということはどういうことかを, 記していきたい。
数の世界は,自然数から始まる。
自然数は, 個数や順序を表す役割をする。
ここに,無限が現れる。 ここでの無限は広がりの無限である。
小学校1年(あるいはそれ以前)から自然数を学ぶが, いきなりペアノの公理を持ち出すわけではない。
高校でも,しっかりとは定義しない。
遠山先生のいわれるように, 皆の共通理解から出発する。
次は整数である。
個数で引き算を自由にできるようになった。
高校では, 倍数や約数について, 学びなおす。
分数は,等分を表すために考えられた。
数と数表記とは違う。
有理数では,深さの無限は表れない。
量を表すために,小数があるが, これは数ではなく,数表記である。
よくある話で,
3分の1 は 0.33333… であるが, それを3倍しても1にならないではないか。
というものがある。
小数には,深さの無限がある。 無限にはいくつかのパラドクスがある。
3進法で,3分の1 は 0.1 である。 有限小数である。
3倍すれば,1 である。
量を表すには,線分図,数直線が便利である。
有理数は無限にあるが, 数直線を埋め尽くすわけではない。
よく知られているのが,\(\sqrt{2}\) や π である。
だが,それ以外にも数直線には有理数でない数がたくさんある。
高校では,実数とは, 数直線と一対一対応の付く数ということにしている。
大学のいつのときだったが,ちょっとしたきっかけで, 岩波文庫(青 924)の「数について」を読んだ。
人にあげてしまったのだが,最近復刊されて購入した。
Dedekind の原著の和訳である。
さすがに,私は原著までは読めないが,
師匠橋本先生の訓どおり, できるだけ,概念を作った人やそれに近い人の原典に あたることにしている。
共立出版(現代数学の系譜 11)にはアーベルとガロアの原典を読むことができる。
なるほど難解である。
彌永昌吉先生の「ガロアの時代・ガロアの数学」は, それをさらに解説してくださっているから,在り難い。
数直線上の点と対応させた実数を,高校生に実感させる教材としては,
と,従来からあるものに 小数展開が加わった。
課題学習としては,連分数も面白いと思う。 (両方とも整数とのはしたを深める)
また,不等式はとても解析的な概念である。
そして, グラフと方程式・不等式では 応用問題としてあらわれる。
実数は, 小学校でもかなり早いうちに学ぶ。 高校でも,学びなおす。
大学で,現代流の実数論を学ぶのは,どのくらいいるのだろうか。