160107 初版 160107 更新

鈍角の三角比

参考 有名な角の三角比の値

鋭角の場合

三角形ABC で,角A は鋭角であるとする。
B から 直線AC に垂線 BH を下す。
線分BH は 辺AC を底辺とみたときの 高さである。
線分AH を 辺AB の直線AC への 正射影 という。
このとき,「三角比」の値は次のようになる。
A の正弦 \(\sin A=\dfrac{\rm BH}{\rm AB}\)
A の余弦 \(\cos A=\dfrac{\rm AH}{\rm AB}\)
A の正接 \(\tan A=\dfrac{\rm BH}{\rm AH}\)
角の大きさから実数への関数である。
また,
\({\rm BH}={\rm AB}\sin A\)
\({\rm AH}={\rm AB}\cos A\)
例えば,AB = 5, AC = 8, A = 60° とする。
\({\rm AH} = \dfrac{5}{2}\), \({\rm BH} = \dfrac{5\sqrt{3}}{2}\), \({\rm CH} = \dfrac{11}{2}\),
三平方の定理より BC = 7
(有名な三角形)
CH は AC より短い。
A の正弦 \(\sin 60°=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\)
A の余弦 \(\cos 60°=\dfrac{1}{2}\)
A の正接 \(\tan 60°=\sqrt{3}\)

鈍角の場合

三角形ABC で,角A は 鈍角 であるとする。
B から 直線AC に垂線 BH を下す。
線分BH は 辺AC を底辺とみたときの 高さである。
線分AH を 辺AB の直線AC への 正射影 という。
例えば,AB = 5, AC = 3, A = 120° とする。
\({\rm AH} = \dfrac{5}{2}\), \({\rm BH} = \dfrac{5\sqrt{3}}{2}\), \({\rm CH} = \dfrac{11}{2}\),
三平方の定理より BC = 7
(有名な三角形) CH は AC より長い。
A の正弦 \(\sin 120°=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\)
A の余弦 \(\cos 120°=-\dfrac{1}{2}\)
A の正接 \(\tan 120°=-\sqrt{3}\)
と定めるのがよさそうだ。
鈍角の余弦(cos)と正接(tan)は 負の値が妥当である。
A が 鈍角 のとき,AH を 負の値 にして (ベクトルの考え), 「三角比」の値は次のようになる。
A の正弦 \(\sin A=\dfrac{\rm BH}{\rm AB}\) (正の値)
A の余弦 \(\cos A=\dfrac{\rm AH}{\rm AB}\) (負の値)
A の正接 \(\tan A=\dfrac{\rm BH}{\rm AH}\) (負の値)
角の大きさから実数への関数である。