130122 初版 130123 更新
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どこかでみたような問題を解いていく。 この問題は解説を読む前に解いてみないと価値がない。

点Oを中心とする半径3の円Oと,
点Oを通り,点Pを中心とする半径1の円Pを考える。
円Pと点Oにおける接線と 円Oとの交点をA, Bとする。

問題を解いていくときのつぶやきって大切である。

A, Bは円Oの円周上の点だから線分ABは円の か。
中心を通る弦だから円Oの直径か。
センターの問題は独特で,
特に図形の問題は,このように一文一文, 図形に構造が設定されていく。
また,円Oの周上に,点Bと異なる点Cを, 弦ACが円Pに 接する ようにとる。
弦ACと円Pの接点をDとする。

この問題はまず,図をかくことからはじめる。
次のような図がかけただろうか。
手本がないとできないものである。 普段の経験と自ら問題に臨む姿勢が問われている。

また,つぶやく。

弦ABは直径だから ∠ACB は直角だわな。
まず,線分APの長さを求めよといわれている。
弦ABはOで円Pに 接している のだから,三角形AOP は ∠ AOP が直角の 直角三角形である。
AO=3, OP=1, ピタゴラスの定理より, \({\rm AP}=\sqrt{10}\)
線分ODの長さの求め方はたくさんある。

K君は相似だといっていた。

OD と AP の交点を H とでもすると,
(ひとにちゃんと説明するというのは大切である。 こんな具合に文字を設定しながら)
三角形OAD, OPD はともに二等辺三角形だから AP は OD の垂直二等分線である。
(四角形AOPD は凧型である)
)ゆえに,三角形AOHとAPOは相似な 直角三角形である。
\(\sin\angle{\rm OAP}=\dfrac{1}{\sqrt{10}}\) より, \({\rm OH}=\dfrac{3}{\sqrt{10}}\), ゆえに \({\rm OD}=\dfrac{6}{\sqrt{10}}=\dfrac{3\sqrt{10}}{5}\)
三角比の定義を繰り返し用いている。

H氏は面積もいいねといっていた。

同じように, AP は OD の垂直二等分線であることを用いる。
三角形AOP の面積は\(\dfrac{3}{2}\)である。 AP を底辺にとって,高さを求めるとそれは OD の長さの半分である。
四角形AOPD が凧型であることを,使ってもよい。

最初思いついたのは2倍角の公式の利用である。

やはり, 三角形OAD, OPD はともに二等辺三角形であること に注目する。
\(\cos\angle{\rm OAP}=\dfrac{3}{\sqrt{10}}\) より, \(\cos\angle{\rm OAD}=2\cdot\dfrac{9}{10}-1=\dfrac{4}{5}\)
三角形OAD に余弦定理を用いて,ODの長さを得る。
\({\rm OD}^2={\rm AO}^2+{\rm AD}^2-{\rm AO}\cdot{\rm AD}\cos\angle{\rm OAD}\)

2倍角の公式は数学IIだから,使わずにできるはず。
四角形OADP( 凧型四角形) は対角の和が2直角であるということに気がついた。

やはり, 三角形OAD, OPD はともに二等辺三角形であり,
また,三角形OAP, ADP は合同な直角三角形である。
∠OAD=θ, OD=x と置き,三角形OADとOPDに余弦定理を用いると,
\(x^2=18-18\cos\theta\), \(x^2=2+2\cos\theta\) で, ODの長さも cos∠OAD も得ることができる。

長さを先に出したら,cos∠OAD は 三角形OAD に余弦定理を用いて得る。

弦ABは直径だから ∠ACB は直角だわな。
AB=6, \(\cos\angle{\rm OAD}=\dfrac{4}{5}\) より
三角比の定義より, \({\rm AC}=\dfrac{24}{5}\)

図形の計量とか,求値問題とかいわれるが,
(計量という用語はちゃんとした数学用語である。 求値問題は受験用語かな。)
そのためには実は図形の構造を 読み取っていくのである。
幾何は数学の中の数学だと感じる瞬間である。

学習の中では, いろいろなアプローチを考えたほうがよい。
本質に迫ることになるし, 公式や数学の見方・考え方が有機的につながってくる。

図は HTML5 canvas を使って描かせているが,
script を使って自由に描けるようになれば, 幾何のセンスは付いていく思う。
定規とコンパスも大切だが, 21世紀はこんなのが,せっかくの道具である。
scriptも公開しているが,座標の幾何,三角関数,ベクトル,複素数平面,極座標など 有効に使っている。
だから,幾何のセンスが付いてくる。
例えば,図の点Cをとるのには, \(\cos\angle{\rm BOC}=\cos 2\angle{\rm OAD}=\dfrac{7}{25}\) を使っている。

つづく