121209 初版 141024 更新
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今回の話題は純粋には整数の問題である。
数列は図形と並ぶ,数学で取り扱う基本的な事柄だと思う。

(1) 数列 {an} は an = 6n + 11 とする。
初項17, 公差6の等差数列である。
17以上の整数のうち,6で割って5余る数の列ということもできる。
(2) 数列 {bn} は bn = 8n - 5 とする。
初項3, 公差8の等差数列である。
3以上の整数のうち,8で割って3余る数の列ということもできる。
この2つの数列の共通項はどのような数列だろうか。

答えを知りたいというのと,
解き方を知りたいというのは,かなり違う気がする。
解き方を知りたい者が増えている。
自力で解こうと考えるより, 解法を探すものが増えている。
解き方を考えるのが数学で, 解き方を知っているのは暗記である。
むしろ,誰も考えたことがない,斬新な解法がほしい。
そういう意味でも,数列はよい教材である。
まず,やってみる。

\(n\) 1 2 3 4 5 6 7 8
\(a_n\) 17 23 29 35 41 47 53 59
\(b_n\) 3 11 19 27 35 43 51 59
答えは
初項35, 公差24の等差数列である。
一般項は 24n + 11 である。

発達段階によっては,これでいいと思う。
もちろん,高校生なら説明がほしい。
数列という教材は,小学生から大人まで, その段階に応じて同じものでも違う取り扱いができる。

答えをもっているということも,大切である。
解き方を探すより,自分でまず答えを見つけたというのは,
いいことである。
三角形ABCがあって,
\(3\overrightarrow{\rm PA}+4\overrightarrow{\rm PB}+5\overrightarrow{\rm PC}=\vec{0}\) を満たす点Pについて,
3つの三角形PAB, PBC, PCAの面積比の問題など 有名な問題の解答は知っていたほうがいい。
説明は覚えるより,考えた方がいいと思うが。

共通項は,自然数\(k\), \(l\)を用いて,
\(\{a_n\}\)の第\(k\)項と,\(\{b_n\}\)の第\(l\)項が等しいとして,
\(6k+11=8l-5\)…(F1)を満たしている。

この時点で文字は\(n\)でないものを使おう。
いま,終結の説明をしようとしているのだから,
上の実験結果を使うことができて,

共通項の数列の初項は
\(\{a_n\}\)の第\(4\)項,\(\{b_n\}\)の第\(5\)項である。

この初項を求めるのは, 不定方程式 \(6x-8y=-16\)の解をひとつ求めることに他ならない。
それは,一般には互除法を使うのかもしれないが,見つける方が簡単なことが多い。

\(a_4=b_5\)より,\(6\times 4+11=8\times 5-5\)…(F2)
\(6k+11=8l-5\)…(F1)
\(6\times 4+11=8\times 5-5\)…(F2)
両辺それぞれ差をとって,
\(6(k-4)=8(l-5)\) この値は,6と8の公倍数である。
したがって,\(k-4\)は4の倍数,\(l-5\)は3の倍数である。
よって,
\(k\)は4以上の4の倍数で\(4n\),
共通項の第\(n\)項は, \(6(4n)+11\),すなわち,\(24n+11\)
\(l\)でやるなら,5以上の3で割って2余る数で\(l=3n+2\)
共通項の第\(n\)項は, \(8(3n+2)-5\),すなわち,\(24n+11\)

整数の性質は, 数列の考えの後にやったほうがよい気がする。
というか,数列の考えはいずれまとめるにしても,少しずつ身につけさせたほうがいい。